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音楽マンション®を語る―越野建設 × 山野楽器―

いつもヤマノ・ビッグバンド・ジャズ・コンテスト(以下YBBJC)を応援いただきありがとうございます。
皆さまは「音楽マンション」という言葉を、聞いたことがありますでしょうか。実は今年初めて YBBJCのご協賛社としてご参画いただきました越野建設株式会社様が手掛ける、楽器を演奏でき、さらに遮音性(防音性)に優れた、独自開発の賃貸マンションブランドのことをいいます。楽器販売や音楽教室を手掛ける山野楽器といたしましても、大変興味を覚え、今回この「音楽マンションを語る」というテーマの座談会を企画しました。
ご参加いただきました方は、越野建設株式会社 企画開発部マーケティングチームマネージャーの土屋貴之様、音楽マンションの入居者と入居を検討している方の会員制コミュニティである「音楽マンション俱楽部」のご担当者の佐藤里紗様、そして山野楽器の社員で、ヤマノミュージックサロン調布(音楽教室)でも「クラリネット」の講師を務める髙梨佳子の3名です。

座談会を行った山野楽器・髙梨佳子(左)、越野建設・土屋貴之様(中)、同・佐藤里紗様(右)

―越野建設(株)についてお聞かせください―

(土屋)
越野建設株式会社は1912年に創業、現4代目社長の越野充博(こしの・みつひろ)が代表を務める今年で創業113年の総合建設会社です。東京都北区王子に本社があり、ちょうど昨年のYBBJCの舞台にもなりました「北(ほく)とぴあ」も弊社が建設に携わりました。公共工事や民間工事の両方を請け負います。2012年に地主様の土地活用の一環で楽器が演奏できる賃貸マンションをご提案し建築したところ、すぐに満室となるなど大変評判がよく、現在では「音楽マンション」シリーズとして東京を中心に54棟約1000戸を超えるご入居をいただいています。

音楽マンションのマーケティング担当である越野建設 土屋様(右)

―YBBJCへご協賛に至った経緯についてお聞かせください―

(土屋)
弊社では地元の北区を中心に多くの音楽イベントや個人の音楽活動を応援しております。スポーツの世界でも、北区西が丘にある「味の素フィールド西が丘」をホームにもつ女子プロサッカーWEリーグ「日テレ・東京ヴェルディベレーザ」様をサポートさせていただいています。そんな中、山野楽器様からYBBJCのスポンサーのお話をいただき、弊社としましても「音楽マンション」の建設を手掛ける音楽関連企業の一員として、学生たちに目標となる音楽活動の場を提供したいという当コンテストの理念に賛同し、スポンサーを受けさせていただきました。

―「音楽マンション俱楽部」についてお聞かせください―

(佐藤)
「音楽マンション」にご入居していただいています1000 名を超える入居者様と、これから入居したいと思ってくださっている入居検討者様で構成する2000名を超える会員制コミュニティです。

(髙梨)
どういう活動をされていらっしゃるのですか。

(佐藤)
メール・LINE会員さんには、「音楽マンション」の募集が出た際に速報をお届けしています。入居者会員さんには、音楽イベントへ抽選でのご招待など、音楽マンションに住んでいると良いことがあるな、と思っていただける企画を考えて実施しています。両会員さんには、月に1回のメルマガ配信、アンバサダーを務めていただいています音楽家の皆さまのイベント告知など、音楽にまつわるさまざまな情報も発信しています。

音楽マンション倶楽部の担当である越野建設 佐藤様(右)

(髙梨)
ラジオ番組をもたれているとお聞きしましたが。

(佐藤)
はい、渋谷クロスFMにて『音楽マンション®プレゼンツLife with Music』という番組を社長の越野がパーソナリティを務め、音楽を愛するゲストを招いて30分の生放送を行っており、私はその担当を務めています。また、地元北区に密着するインターネットラジオ局「しぶさわくんFM」では、経営者の方をお招きし、こちらも越野と対談をしていただく『TOKYO NORTH MOVEMENT 飛鳥山の窓から』という番組もございます。
(※しぶさわくんFMの“しぶさわくん”は、新紙幣でおなじみの渋沢栄一翁のことで、王子を代表する企業である旧王子製紙の創業者として王子の地で暮らしていました)

渋谷クロスFMの放送の風景、左から2人目が越野建設 越野充博社長 (写真提供:越野建設)

―「音楽マンション®」とはどのような賃貸マンションでしょうか―

(土屋)
元々は地元の地主様の土地活用のご相談を受けました2012年に、弊社独自のコンクリート技術である「結晶化コンクリートⓇ」を活かした、高い遮音性を持ち楽器演奏ができる賃貸の企画をご提案し、建築していただいたのが「音楽マンション」の始まりです。

(土屋)
髙梨さんは「音楽マンション」のことはご存知でしたでしょうか。

(髙梨)
はい、もちろん存じていました。一人暮らしをしているころは、常に楽器を演奏できる物件にアンテナを張っていましたし、検索すると必ずでてきました。私のまわりの楽器プレイヤーにも認知されていました。

(土屋)
ありがとうございます。

(髙梨)
楽器演奏可とした賃貸はいくつもあると思いますが、御社の「音楽マンション」の特色についてお聞かせくださいますか。

(土屋)
楽器演奏可と聞いて入居したものの、建物に遮音性能がなく、実際に入居後にお隣や上下の階のご入居者さんとトラブルになったというお話もお聞きします。弊社の音楽マンションは、楽器演奏に必要な高い遮音性能を付加しており、 単に楽器演奏を許可しているだけの一般賃貸マンションとはまったく違います。さきほど申し上げましたが、元々創業から弊社のコア技術は鉄筋コンクリート構造です。少々専門的になりますが、弊社の「結晶化コンクリート」では、生コンクリートに対して水の分量を少なくすることで、密度の高いコンクリートが出来上がりますが、実は職人さん泣かせの工法なのです(水が少ないと生コンクリートが型枠の隅々まで容易に行き渡らないため)。そこで我々は協力工事会社さんとひざを突き合わせて話し合い、この施工方法を実現しています。

(髙梨)
ずいぶん丁寧なお仕事ですね。こうやって遮音性の高いコンクリートのおかげで、私のような演奏家が安心して暮らせるマンションが出来上がっているのですね。

(土屋)
はい。そして、私たちは遮音性能を高めて楽器が演奏できる環境を整えることに加えて、「暮らしやすさと住み心地」も兼ね備えた賃貸マンションを追求しています。 例えば、音楽マンションでは「24時間演奏可能」とせずに、あえて演奏可能時間をルールとして定めることによって、入居者さん全員が安心して気兼ねなく暮らせるように配慮しています。

(髙梨)
なるほど。確かに音楽をやっている人だからこそ、他の人の音にも敏感になる気がします。 住む人の立場に立った賃貸マンション作りをされているのですね。 ところで、音楽スタジオがある物件もあるとお聞きしましたが。

(土屋)
はい。現在「音楽マンション」シリーズ54棟中、田端駅(東京都北区)、赤羽岩淵駅(東京都北区)、仙川駅(東京都調布市)、蕨駅(埼玉県蕨市)、西川口駅(埼玉県川口市)を最寄りとする5棟にスタジオが併設されています。

(髙梨)
すばらしい設備ですね。常に自分の部屋で練習していると、こぢんまりした演奏になりがちな部分もあると思うのですが、こんな広々としたスタジオで練習ができたら、気分を変えて取り組めます。自分が住んでいる場所で室内楽の合わせや本番を想定したリハーサルができるのはとても良い環境だなと思います。音大生は学内の練習室を使うことが多いと思いますが、空きがないときや、タイミングが合わないときに利用できるスタジオがあるのは本当にありがたいことです。

(土屋)
弊社の1000戸を超える「音楽マンション」の入居率は現在99%を超えていますが、スタジオ付のマンションは特に人気が高いですね。ご入居者様以外でも予約が空いていれば一般の方のご利用も可能です。利用時間は仙川の「音楽マンション」(ヴィルトゥオーソ仙川)では朝の8時から夜の10時までで、物件により多少異なります。

スタジオヴィルトゥオーソ (写真提供:越野建設)

(髙梨)
音楽マンションにはどのような方が住まわれているのですか。

(土屋)
ご入居者の80%が楽器演奏を趣味にされている一般企業にお勤めの社会人です。20%が今回のYBBJCにご出場されるような学生さんやプロの演奏家さんなどで、男女比はほぼ半々です。 演奏家の髙梨さんからみて、「音楽マンション」にこんな機能がついていたら、というものはありますでしょうか。

(髙梨)
楽器は湿度に大きな影響を受けますので、湿度に配慮したマンションがあると嬉しいですね。

(土屋)
「音楽マンション」はキッチンなどの水回りと楽器が演奏できる部屋は分かれていますので、その点は安心だと思います。

(髙梨)
ピアノを演奏される方には特に嬉しい配慮ですね。

(土屋)
髙梨さん、実は(階下に)1Kタイプの弊社のモデルルームが隣り合って2室あるので、どのくらいの遮音性能があるか、音の響き方も併せて体感してみませんか。

(髙梨)
はい、ぜひお願いします。私も今日クラリネットを持ってまいりましたので、お部屋の中で吹いてみたいです。

―モデルルームでの遮音体感―

(土屋)
まず、フルート奏者の佐藤がこの部屋で演奏してみます。皆さんはお隣の部屋へ移動して、この演奏音がどのくらい聞こえるのか体感してみてください。
(隣同士の2つのモデルルームで実験)

(髙梨)
(演奏音が)お隣からまったく聞こえませんね。どのくらいの音量ですか。

(土屋)
音量を測りましたところ、92.4㏈(デシベル)でした。 「音楽マンション」には非常にうるさいと感じる90㏈の音を30㏈まで落とす遮音性能が全物件に備わっています。これ(30db)は深夜の住宅街の静けさです。もちろん、もっと(遮音性能を)高めることはできますが、そうすると賃料がどんどん高くなってしまいます。私たちは、入居者様に手が届きやすく、かつ楽器演奏に必要なレベルの遮音性能をきちんと備えた賃貸マンションを目指しています。また、日本建築学会の遮音等級の最上位である特級をクリアすることも、もう一つの基準としています。

フルートを吹く佐藤様

モデルルームでクラリネットを吹く髙梨

(髙梨)
ほかに、お部屋の中で遮音性能に関するこだわりの部分はありますか。

(土屋)
目に見える部分では、部屋の防音扉に「エアタイト」という装置がついています。

(髙梨)
エアタイトとはどういうものでしょうか。

(土屋)
バリアフリーの部屋ですと、扉を閉めたときにどうしても床と扉との間に隙間ができ、そこから音漏れがするものですが、それを防ぐために、扉が閉まると自動的にゴムパッキンが扉の下部から現れて、その隙間を塞ぐのです。

(髙梨)
これはびっくり、初めてです。

(土屋)
ほかには、遮音二重サッシや遮音換気装置などが設置されており、これは冷暖房の効率アップにも寄与しています。

居室と廊下をつなぐ防音扉に「エアタイト」が内蔵され、音漏れを防いでいるという

―YBBJCに出場される学生の皆さまへ向けてひと言―

(土屋)
どうか社会に出てからも音楽を続けてほしいですね。そしてもし弊社の音楽マンションが皆さまのお役に立てるようなことがありましたら、思い出していただけましたら幸いです。

(佐藤)
より多くの学生の皆さまに音楽マンションのことを知っていただきたく、ご縁がありましたらご入居していただきたいですね。1Kなど単身タイプの間取りが多いですが、ファミリータイプも揃えていますので、将来ご家庭をお持ちになられた際でもお声掛けいただければと思います。

―最後に―

(佐藤)
転勤などで一度ご退去された方も、戻ってきたらまた「音楽マンション」に住みたいと仰ってくださることが多く、ありがたいことです。これからもそのように言っていただけるようなマンションをご提供させていただきたいと思います。

(土屋)
本日はありがとうございました。これからも楽器演奏を愛する皆さまに喜んでいただける物件づくりを進めて行きたいと思います。ひと駅に1棟ずつ、「音楽マンション」ができるといいですね。もっともっと広げていけるよう頑張ります。

(髙梨)
土屋さん、佐藤さん、本日はありがとうございました。越野建設様の「音楽マンション」を拝見させていただき、自分でもお部屋で演奏させていただいて、とても音の響きがよく、気持ちよく演奏できました。演奏家だけでなくYouTuberなどにも喜ばれるのかなとも思いました。また、お二人のお話を聞いて、私も最初は 24 時間演奏できることが喜ばれるのだろうと思っていましたが、演奏できる時間とそうでない時間を設けて、入居者同士が気を遣うことなく暮らせることが、日々の生活においてとても大切なのだなと思いました。演奏家としての視点から、音楽マンションに住むと、音楽と生活の両方とも上質なものになり、自分の演奏だけでなく人生そのものが豊かになると実感しています。

本日は、ありがとうございました!

今回の座談会の会場は、都内北区王子本町にあります、音楽マンション「ヴェージュエスコルタ」のモデルルームで行いました。

■越野建設株式会社
https://www.e-koshino.co.jp
■音楽マンション
https://www.e-koshino.co.jp/results/music.html