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『今昔物語』 長瀬琢磨さん(Dr)

明治大学 ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ
1989年 第20回大会出場 (最優秀賞受賞)

1990年 第21回大会出場 (最優秀賞受賞)
1991年 第22回大会出場 (優秀賞・優秀ソリスト賞受賞)

※2003年、第34回大会に寄稿された文章を当時のまま掲載しています。
山野ビッグバンドジャズコンテストがくれたもの

 今思えば、山野ビッグバンドジャズコンテストを知ったのは中学生のころでした。通っていた中学・高校の先輩がこのコンテストで活躍されており、自分も同じような活動ができたらと、憧れていたものでした。
 その時は、山野のコンテストに出場するということがどんな意味を持つかなどは、当然考えもしていませんでした。しかし、大学時代実際に出場し、さらに卒業後このようなコンテストについて文章を書く機会を与えて頂いたことにより、このコンテストは、自分達の演奏に客観的な評価を与えてくれた、数少ない非常に貴重な場だったのだということを、改めて感じました。
 ご存知の通り、コンテストでは日本を代表するアレンジャー陣をはじめ、音楽に精通された様々な方々より、厳しい目による評価を頂くことができます。自分にとって非常に貴重な場であるとともに、自信をつけたり、反省を促されたりする場でもありました。当日の15分という限られた演奏時間の中で自分達を表現し、直後に評価を得るという緊張感のある瞬間でした。
 学生に限らず、アマチュアバンドは、ともすると自分達の演奏に自己満足になりがちで、聞く側の満足度や印象をないがしろにしてしまうことが、自分の経験からも多いのではないかと感じています。自分の演奏を楽しむことは非常に大切なことですが、これは自己満足だけで終わることとは違います。演奏を真に楽しむには、やりたい曲をやったという事実や、技術的に旨く演奏し終えたという充実感だけでなく、聞く側が満足してくれたという要素を欠くことはできません。この最後の要素を目に見える形で与えてくれたのが山野のコンテストでした。
 私自身が今でもビッグバンドに携わり、その中である程度緊張感を持ちながら演奏できているという幸運な状況にあるのは、恵まれたメンバーの中にいるというのはもちろんですが、山野のコンテストを通じて得た経験が非常に大きいと思います。
 さらに、未だに一回り以上も離れた現役の学生が、このコンテストの練習を中心に、演奏についてアドバイスを求めてくれ、彼らと交流できるというのも、このコンテストがくれた貴重なものです。
 これらの恩恵にあやかり、まだまだ自分の音楽を発展させていきたいし、可能な限り、現役学生の人達と貴重な瞬間を共有していきたい、そう思っています。

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