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『今昔物語』山野楽器スタッフ編 牛久紘美さん(Tb)

国立音楽大学 ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ(OG)
2004年 第35回大会出場(最優秀賞受賞)
2005年 第36回大会出場(最優秀賞受賞)
2006年 第37回大会出場(優秀賞受賞)
※2007年寄稿
※現在は退職

「優勝は──」
握り締めあった時の、仲間の掌の熱さは、一生忘れない。…こんなすばらしい経験が今までにあっただろうか?どんなに最善を尽くしても、逆にどんな失敗があっても、結果は最後まで分からない。だからこそ、出場した学生全員が、死にもの狂いで練習した成果をぶつけ合い、認め合う…YAMANO BIG BAND JAZZ CONTESTはそんなイベントだと思う。

団体にもよると思うが、私の所属していたバンドでは、前年のコンテストが終わるとすぐに、翌年どうするかの話が始まる。
「来年は、コンテスト出たい?」
「…出たい!」
そうなればあ、すぐに曲の話。まる一年かけて、やりたいことを実現させる為の構想を練るのだ。練習の後や様々なライヴの後の打ち上げから、突拍子もない意見や一見実現不可能な意見が飛び出すこともある。でもそれを本当にやりたいと思えば、
「みんなで絶対成功させてやろう…!」
そう言って団結できるのが他のライヴとの大きな違いだろう。
夏休み、大学が閉まると、近くの公民館やホールを借りての練習が始まる。朝9時~夜10時までの練習。3度の食事も仲間と食べ、自宅が遠方なら近くの仲間の家に泊まり込む。8月の3週間、ほぼ合宿状態での練習だ。
練習では、強烈な個性と音楽性を持っているメンバーだからこそ、意見が激しくぶつかり合うこともしばしばある。──その曲をより良いものにしたい、どこのバンドにも負けたくない──。たった15分の演奏のために、ここまで真剣に仲間と議論し、ぶつかり合えるのも、レベルの高いこのコンテストでなければ出来ないことだと思う。
ここまで真剣なことばかり書いてきたが、もうひとつ、重要な事を書きとめておきたい。
それは、YBBJCが、学生の底知れぬ「楽しむ」パワーが炸裂する大イベントでもある、ということなのだ。
当日会場では、学生ならではの盛り上がりがある。この日のために、奇抜な衣装を揃えたり(金色など)、頭を丸めたり(モヒカンも多いが)、協賛会社であるマクドナルドのキャラクター、ドナルドマクドナルドと身長を競ったり、山野社長の挨拶のときには大喝采が起こり、名前のコールと手拍子で盛り上がる。入賞チームの名前が読み上げられた時は、会場が壊れてしまうくらいの歓声と拍手がある。その雰囲気は、一見過激にも思えるかもしれないが、どこか温かく、居心地がいい。音楽、遊び、何に対しても真剣な学生の姿がそのまま社会に発信されることも、YBBJCの大きな意義ではないだろうか?
今年、今度はスタッフとして、会場に行くのが楽しみである。

35プログラム

第35回大会プログラム表紙(2004年)

36プログラム

第36回プログラム表紙(2005年)

37プログラム

第37回プログラム表紙(2006年)

※2007年7月、山野楽器社内の冊子に寄稿された文章を当時のまま掲載しています。