銀座本店

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クラシックスタッフが選ぶ“必聴傾聴盤”(2020年7月3日掲載)

銀座本店 クラシックフロア スタッフが選んだ“必聴傾聴盤”(2020/7/3掲載)
 
驚愕の超絶技巧と圧倒的表現!ミナージによる圧巻の「四季」 
ヴィヴァルディ:「四季」&ヴェルディ:バレエ音楽「四季」(歌劇「シチリア島の夕べの祈り」より)』 

リッカルド・ミナージ(ヴァイオリン&指揮)ラ・シンティッラ管弦楽団

Philharmonia rec  KKC6185  輸入盤国内仕様

 ある時は超絶技巧のバロックヴァイオリン奏者として、ある時はカール・フィリップ・エマヌエル・バッハやモーツァルトの交響曲を指揮する気鋭の指揮者として、またある時は名オペラ歌手を支える指揮者として、さらにある時はオペラの校訂譜を仕上げる学者として活躍する。しかしてその正体は、我らがリッカルド・ミナージである。彼のあまりにもマルチな活躍ぶりには脱帽する他ないのであるが、このアルバムはミナージでしかない得ない企画だろう。ヴィヴァルディの「四季」とヴェルディの「四季」を一つのアルバムに収めてしまう画期的な企画だからだ。バロックヴァイオリンを完璧に弾きこなし、オペラの校訂譜さえ作ってしまうミナージだからこそ、浮かんだ企画かもしれない。これが企画倒れにならないところがミナージのすごいところ。ヴィヴァルディの「四季」は、誰もが聴き慣れた曲と言ってもいいほどだが、ミナージの手にかかれば、超前衛曲としての衝撃を生む。春では鳥が鳴き乱れ、夏では嵐が巻き起こり、秋では狩人たちが獲物を追い立て、冬ではスケートする人々が寒さのあまり歯をガチガチ鳴らす、そんな四季折々の様を表現主義に徹し描き切るのであるが、なんと圧倒的に美しいのである。これが両立するということはほぼ奇跡である。ミナージの、聴いているだけではどうやって奏でているか分からない超絶技巧と、バロックヴァイオリンの特質を活かした美音、センス抜群の即興的装飾があってこそだ。共演のチューリヒ歌劇場のオーケストラが、ピリオド楽器に持ち替えて演奏するラ・シンティッラ管弦楽団もミナージの要求にきっちり応え、最高のパフォーマンスを聴かせる。ヴィヴァルディの「四季」はまさに群雄割拠というほど名盤ひしめくが、大袈裟でなく、これはそのトップに躍り出るかもしれない。ヴェルディのバレエ音楽「四季」の演奏は、おそらくピリオド楽器では初の録音だろう。ヴィヴァルディから150年ほど後の音楽を19世紀的情感を活かした演奏で、浸れるほど聴かせてくれる。こちらも実に美しい演奏だ。ミナージの圧倒的才能を体感する最高の一枚!!(須田)

 

  • 説得力抜群!ラーデマンによるメサイア!
    『ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(1742年ダブリン初演版)』

    ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ゲッヒンガー・カントライ
    ドロテー・ミールズ(ソプラノ)ベンノ・シャハトナー(アルト)
    ベネディクト・クリスティヤンソン(テノール)トビアス・ベルント(バス)

    Accentus music ACC30499(2枚組) 輸入盤

     このところ、複数のレーベルから優れた録音を続々とリリースしている現代合唱指揮者の最高峰であるラーデマンが、手兵ゲッヒンガー・カントライとメサイアをリリース。現在の最も活躍する古楽ソプラノであるドロテー・ミールズら、実力派歌手を揃え、ヘンデル自身が“キャノニカルヴァージョン”と呼んでいた今日一般的によく演奏される稿ではなく、ダブリンでの初演時の稿を使用するというこだわりの録音になっている。ヘンデルのオラトリオの中でも、メサイアは合唱の役割がとりわけ大きいが、ラーデマンが統率するゲッヒンガー・カントライの合唱の質は極めて高く、その機動力と表現力には、このコンビの実力なら当然のこととはいえ、改めて驚かされる。現在ドイツやイタリアを中心に古楽演奏の最前線で大活躍中の平崎真弓がコンサートマスターとして参加、オーケストラを引き締めている。合唱部分での声楽パートと同様のアーティキュレーションを徹底し、統一感を生んでいるところがすごい。平崎真弓のオーケストラ統率力の高さとラーデマンの彼女に対する信頼を伺わせる。稿の違いももちろんだが、演奏としても新しい視点でメサイアを楽しむことができる最高の演奏だ。(須田)

  • 夭折の天才ピアニストによる感動の記録!
    『ディヌ・リパッティ コロンビア録音全集1947-1948年』

    ディヌ・リパッティ(ピアノ)、他、共演者

    APR APR6032(2枚組) 輸入盤

    夭折の天才ピアニスト、ディヌ・リパッティがコロンビアに残した全録音を収録したAPRレーベル初期の名復刻盤が新装丁で再登場!しかもコロンビア録音以外にも、有名なグリーグとシューマンのピアノ協奏曲、往年の名チェリスト、アントニオ・ヤニグロとのテストレコーディングなどを加えてCD2枚組にぎっちりと収めている。スカルラッティのセンスあふれる演奏、バッハの名曲を名ピアニスト、マイラ・ヘスが編曲した「主よ、人の望みの喜びよ」の澄み切った感動的な演奏、ショパンのソナタ第3番の圧倒的説得力を持つ演奏など、リパッティにしかなし得ない至高の演奏を楽しめるコロンビア録音だけでも、胸がいっぱいになるのに、グリーグとシューマンの協奏曲などの名演のAPRならではの名復刻と、貴重なヤニグロとの共演まで収録されているのだから、贅沢なアルバムである。リパッティの、ピアノ音楽の、なによりクラシック音楽のすばらしさを心行くまで堪能できるアルバムだ。(須田)

  • 音楽でたどるクープラン一族の歴史
    『クープラン家~幸福な思い』

    崎川晶子(チェンバロ/1776年クリスティアン・クロル製作、リヨン)

    コジマ録音 ALCD-1193 国内盤 

     実力派チェンバロ奏者、崎川晶子による一世紀半に渡るクープラン一族の作品アルバム。ルイ、フランソワ、アルマン=ルイという三人のクープランの代表作をチョイスし、一枚のアルバムにうまくまとめている。使用楽器は200年以上前に作られたオリジナル楽器で、フランスのヴィラールソー城において録音されている。当時を偲ばせるオーセンティックな録音と呼べるだろう。バロック初期の情念的表現さえ聴かせる夭折の天才ルイの独特の作風、まさに黄金期のフランスを想像するに易いフランソワの優美な作風、18世紀の華やかな趣味を反映したアルマン=ルイの作風と、同じクープラン一族とは言え三者三様の作風を、崎川晶子は細部にまでこだわった繊細な演奏で描き分けている。演奏者自身による作品解説に加え、崎川の師、渡邊順生による楽器解説を収録。どちらも作品や演奏理解に大いに役に立つ読み応えのある内容だ。クープラン家の音楽による年代記をCD一枚で辿れる贅沢なアルバムと言えるだろう。(須田)

  • テュベリー率いる腕利き集団によるヴェスプロ登場!
    『モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り』

    ジャン・テュベリー(コルネット&指揮)
    アンサンブル・ラ・フェニーチェ、ファヴォリーティ・デ・ラ・フェニーチェ
    ランス大聖堂聖歌隊

    Ligia Digital LIDI0202355(2枚組+PAL仕様DVD) 輸入盤(2CD)

     木管コルネットの名手ジャン・テュベリが率いる凄腕古楽集団ラ・フェニーチェによるモンテヴェルディの聖母マリアの夕べの祈りが日本に上陸!2017&2018年録音。盛期ルネサンスのイタリアの画家ピエロ・ディ・コジモの聖母子像をジャケットにあしらった豪華な装丁で、140ページに渡る仏英語のブックレットを収録。見た目だけでも十分贅沢であるが、演奏内容ももちろん期待通りにすばらしい。現代のモンテヴェルディ歌いの最高峰の一人、ヤン・ファン・エルサッカーと、主に宗教曲の活躍ぶりが目覚ましいハンス=イェルク・マンメル、自ら主宰するアンサンブルで初期バロック作品の録音に力を入れ、世界的な評価を得ているニコラ・アクテンら、実力派を揃えた豪華な歌手陣の歌唱と、テュベリの木管コルネットを中心とする即興的超絶技巧続出の器楽陣が高次元で融合した演奏で、時代を変えたこの大傑作を、作曲当時の熱狂さえ蘇らせるかのようだ。この曲の初演地であるマントヴァの聖バルバラ教会のオルガンに合わせる466という高めのピッチも演奏に張りを与え、モンテヴェルディの作品が内包するマグマのような情熱をこれでもかと吹き出させている。構成の上でも、聖母被昇天の祝日での演奏に設定し、単旋律聖歌を随所で挿入して、当時の典礼を擬似再現。テュベリ率いる器楽陣は楽器が大活躍するサンクタ・マリアによるソナタ、マニフィカトなどで装飾を入れまくり、大暴れする。脱帽の巧さである。ところどころに聖歌隊の児童合唱を織り交ぜて、雰囲気を作り上げるのもにくい演出だ。間違いなく、モンテヴェルディ・ファン(もちろん私も!)は狂喜する最高の内容だ。演奏映像が収録されたDVDまで付属しているのだが、残念なことにヨーロッパの仕様であるPAL仕様。日本のDVDプレーヤーでは再生できないので、どうしてもご覧になりたい方はパソコンでの再生など工夫する必要がある。ただ映像は例え見られなくともCDだけで十分すぎる価値のあるアルバムであることは間違いない。古楽ファンなら絶対聴いて頂きたい。(須田)

  • アブリゼルの魔法に魅せられる最高のオルガンアルバム!
    『Siglo de Oro~黄金世紀 2018年に新造されたイベリア・タイプのオルガンによるスペインの音楽』

    ジャン=シャルル・アブリゼル(オルガン)

    Musique et Mémoire MM2019-01-02(2枚組) 輸入盤

     歴史的オルガン演奏の大権威、オルガン界の至宝、ジャン=シャルル・アブリゼル。長年、オルガンの独奏者や名古楽アンサンブルで通奏低音奏者として活躍していたが、21世紀に入ってからは、主に住まいのあるフランスの東部の一都市ベルフォール近郊での活動に限定しており、知る人ぞ知るオルガニストとなっている。しかし、彼の演奏を知るのと知らないのとでは、音楽体験において、大いに差が出ると言って過言はない。その演奏のすばらしさはそれほどのものである。オルガンを自らの体のように、もしくはそれ以上に自在に操り、その演奏は、千変万化、変幻自在、万物流転の音楽となって、我々に届く。オルガンという楽器のすばらしさを心の底から感じることのできるCDを数多く発表しているのである。今回届いたアブリゼルの新譜もそうした一つである。2018年、ベルフォールの隣町で自身の生地であるグランヴィールのサン=マルタン教会に新造されたイベリア(スペイン・ポルトガル)の歴史的様式によるオルガンを使用しての、スペインが世界の覇権握り、芸術においても栄花を極めた時代である黄金世紀(15世紀から17世紀前半)のオルガン音楽のプログラムとなっている。盲目の才人カベソンから、スペインバロックの天才ブルナ、黄金世紀最後の巨匠カバニリェスまで、これはスペイン音楽全盛期の一大オルガン絵巻である。イベリア式のオルガンの特徴は垂直に伸びるパイプだけでなく、まるでオルガンからトランペットが生えているかのように水平に飛び出ているパイプ(一般的に、水平管と呼ぶ)が付いているところである。アブリゼルの演奏は、通常は録音だと効果があまり得られないこの水平管の音が至極自然に響き、音楽が立体的に“立ち上がる”。そこにアブリゼルの“魔法”のストップ選択が加わる。アブリゼルの体とオルガンを通して、音楽は聴き手の聴覚空間を覆い尽くす。私たち聴き手はただその音楽に身を委ねれば良い。そこには間違いなく幸福な時間が訪れる。大袈裟でなく、音楽を聴いていて幸せだと確信できるのだ。必ずしも知名度を得ているとは言えないスペイン黄金世紀の音楽のアンソロジーとして楽しむも良し、超秀逸なオルガンアルバムとして堪能するも良し、そうした難しいこと抜きにただただ音楽に浸るも良し。オルガンファンや古楽ファンはもちろんのこと、オルガンは苦手、古楽なんて聞かないという方にも、ぜひともチャレンジして欲しいアルバムである。(須田)

  • 大バッハ以前の大バッハ!ヨハン・クリストフの名作を名演奏で!
    『ヨハン・クリストフ・バッハ:ラメント、ディアローグ、カンタータ』

    フランソワーズ・ラセール指揮アカデミア

    ELOQUENTIA EL1856 輸入盤

     ヨハン・クリストフ・バッハは、ヨハン・セバスティアン・バッハの父の従兄で、著名な音楽家一族として知られていたバッハ一族の中でも、ヨハン・セバスティアン・バッハ以前で最も有名だったバッハと言われている17世紀ドイツの作曲家である。ヨハン・セバスティアンもその作品を数多く筆写し、強い影響を受けている。いわば、ヨハン・クリストフは、「大バッハ以前の大バッハ」と呼ぶべき存在である。しかし、彼の作品は、バッハ一族の作品集で数曲が録音されることはあるが、CD1枚すべて彼の作品というディスクは現在でもあまりない。その状況下において、このCDが日本に輸入されるようになったのは朗報である。フランス古楽界の大御所ラセールが率いるアカデミアは、マイクロレーベルでの発売ばかりであったが、1990年代から質の高いアルバムを発表していた古楽系名声楽アンサンブルである。しばらくCDの発売が無かったが、2018年にこのアルバムを発売していたのである。しかもバッハ一族の巨人、ヨハン・クリストフの作品のアルバムである。ヨハン・クリストフの代表作であるディアローグ(対話形式のカンタータ)「わが恋人よ、あなたは美しい」は、彼自身の結婚式のために作曲されたと言われる結婚式用の音楽。だが、その用途で思い込みの想像をしてはいけない。ト短調であるその曲の雰囲気は厳しく、重々しい。冒頭の花婿と花嫁の二重唱対話による掛け合いは、半音階進行が登場し、まるで死地に向かう二人の覚悟を歌っているかのようである。その後に続くチャッコーナ(シャコンヌ)は、シャコンヌの特徴的なリズムと旋律を繰り返す通奏低音の上で、奔放なヴァイオリンが駆け巡り、そこにソプラノのコラール的旋律が加わる技巧的音楽。他の声部も加わった構築的な最終合唱も花婿と花婿を祝福するというよりも、叱咤激励する。全体的に凝った構成になっており、さすがに自らの晴れの舞台のために作っただけはあるが、追悼音楽と聴き間違うほどの厳粛さである。結婚に当たって、彼は悲壮な決意でもしなければならなかったのであろうか、それとも必ず添い遂げるという決意表明であろうか。音楽家として成功したにも関わらず、経済的に困窮していたとも言われているので、その辺りの事情もあるのかもしれない。なんにせよ、この作品が傑作であることに疑いはない。このアルバムには、この曲の他にも愛らしいチェンバロの小品や、アルトやカウンタテナー独唱の瞑想的な哀歌「ああ、私の頭の中の水が」など、ヨハン・クリストフの高い実力を知ることのできる最高の内容となっている。もちろん演奏もすばらしい。ラセールの指揮の下、独唱陣がしっかりとまとまり、腕利きが揃った器楽陣が強固に支える。聴かせどころをわきまえた実に味わい深い1枚である。バッハ一族の才人を知る格好のCDであり、ラセールとアカデミアの今後の録音にもおおいに期待したくなるすばらしい録音だ。(須田)

  • 熱い熱いモンテヴェルディ・アルバム!
    『モンテヴェルディ・セッションズ』

    ラウル・マリャビバレーナ指揮ムジカ・フィクタ、アンサンブル・フォンテガラ

    ENCHIRIADIS EN2048 輸入盤

    ビクトリアなどのスペイン・ルネサンス音楽の質の高いアルバムを発表し続けるスペインのポリフォニーグループ、ムジカ・フィクタが実力派を揃えたピリオド楽器グループ、フォンテガラとの共演によるモンテヴェルディのアルバムをリリース。曲はマドリガーレ集第2巻から8巻と「音楽の諧謔」より選ばれている。モンテヴェルディ・セッションズと銘打ち、まるでジャズ・セッションのような即興性あふれる歌唱を繰り広げている。例えば、名曲「ニンフの嘆き」は、男声三人のアンサンブルが、メインボーカルとなるニンフのバックコーラスのように合いの手を入れていくのだが、彼らの歌唱では、バックコーラスの役割を超え、対等なクァルテットのように歌う。これによってアンサンブルは濃密なり、テキストと綿密に結びついたモンテヴェルディの音楽がより一層輝く。ニンフの“嘆きの度合い”は増し、聴き手を音楽に没入させる。透明感のあるソプラノの美しく哀しい声も心を打つ。この濃密なアンサンブルは、モンテヴェルディのマドリガーレから内在するパッションをこれでもかと引き出し、聴き手の感情を直接的に揺れ動かす。まさにこれぞマドリガーレの醍醐味である。通奏低音は、あえてチェンバロをはぶき、ハープとヴィオラ・ダ・ガンバ、テオルボまたはバロックギター。特に感情を揺さぶるような撥弦楽器が表現力豊かで舌を巻くほどの巧さ。ブックレットにはテキストも載せず、アーティストたちの収録時の写真のみとポピュラーミュージックやジャズのアルバムのような潔い作り。熱気に包まれるマドリガーレ歌唱でモンテヴェルディのパッショネイトな世界を堪能してほしい。(須田)

  • 特殊技法と旋律美のオンパレード!

    『ラメンテーヴォレ〜ビーバー、ムッファト、ベルターリ、シュメルツァー︰ヴァイオリンのためのソナタ集』

    ヨセフ・ジャーク(ヴァイオリン&指揮)アンサンブル・カステルコルン

    ELOQUNTIA EL1755 輸入盤

     モダン・ヴァイオリン奏者として、国際的なコンクールで入賞を果たしていたチェコのヨゼフ・ジャークは、パリでバロックヴァイオリンを学び、すぐに著名なピリオド楽器オーケストラやアンサンブルに呼ばれるようになった新進気鋭のバロックヴァイオリン奏者。しかもジャズヴァイオリン奏者としても活動し、グレゴリオ聖歌の指揮者でもあるというマルチな才能を発揮している。その彼がパリで出会った仲間たちとアンサンブル・カステルコルンを結成し、アルバムをリリース。母国チェコのバロック時代のヴァイオリン音楽集で、カール・リヒテンシュタイン=カステルコルン司教君主の居城クロムニェジーシュ城に残されたビーバーやシュメルツァーらの技巧的な作品ばかり集められている。タイトルの「ラメンテーヴォレ」はシュメルツァーの作品名から取られている。バロック時代のチェコ、ボヘミアのヴァイオリン音楽の特徴は、なんと言ってもさまざま技巧を散りばめた型に収まらない自由さにある。装飾満載の旋律、挑発的な通奏低音、独特の和声と半音階進行、自然や人間、生き物などの直接的な描写などが挙げられるが、そんな堅苦しい分析をせずとも、なにより聴いていて楽しい。音楽として純粋な面白さを持っているのだ。このCDにおけるジャークたちの演奏も実に自由で楽しげである。もちろん、それは各奏者の高い技術や音楽性があってこそである。時に体を動かしたくなるほどリズミカルで、時にうっとり聴き惚れたくなるほどの旋律美で、時に息を呑むほどの超絶技巧で聴き手を存分に楽しませてくれる。バロック時代のチェコ・ボヘミア音楽を堪能する最高の一枚だ。(須田)

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