銀座本店

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クラシックスタッフが選ぶ“必聴傾聴盤”

銀座本店 クラシックフロア スタッフが選んだ“必聴傾聴盤”(2020/5/6掲載)
 
ザ・シックスティーン圧巻の歌唱!ルネサンス時代のローマの教会音楽を俯瞰する一枚。 
ローマの呼び声』 

ハリー・クリストファーズ指揮ザ・シックスティーン
CORO COR16178 輸入盤

永遠の都ローマをテーマにした、ザ・シックスティーンのコンセプトアルバム。ローマの教会のために書かれたルネサンス時代の作品を幅広く選曲。聖歌「エレミヤの哀歌」から始まり、それに呼応するビクトリアの美しく切ないレスポンソリウム、ジョスカン・デ・プレの名作「我らが父よ/アヴェ・マリア」、ローマの教皇庁聖歌隊の作曲家として活躍したアネリオの珍しい作品などから、最後はビクトリアの名作中の名作「サルヴェ・レジナ」で締めくくられる。教会音楽の代表格とされるアレグリの「ミゼレーレ」は当時の装飾をふんだんに加えた版での収録(この曲のみ以前の録音の再収録)。盛期ルネサンスのジョスカンの完成されたルネサンス様式と後期ルネサンスのアネリオのバロック時代目前という様式の対比も面白い。曲によって歌唱法や表現を変化させ、多彩な要素を見せるザ・シックスティーンの歌唱はやはり世界最高峰。十八番であるビクトリアの歌唱もさすがだが、ジョスカンの作品での歌唱も圧巻だ。ローマをテーマにルネサンス時代の音楽を俯瞰するザ・シックスティーン渾身のアルバムだ。(須田)

  • 17世紀の傑作を当時の演奏法で!
    『ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ:無伴奏ヴァイオリンのための組曲集』

    パラメナ・ニキタソヴァ(ヴァイオリン/セバスティアン・クロッツ 1730年頃)
    RICERCAR RIC412 輸入盤

    17世紀ドレスデンで活躍し、その名声から呼ばれたルイ14世のヴェルサイユ宮廷でも演奏し、絶賛されたというヴェストホフの無伴奏ヴァイオリンのための組曲。バッハの有名作品の先駆となる作品で、近年注目を浴びている。重音奏法が多用され、フーガを形成する部分もあるなど、とてもバッハの作品の100年前に作曲された作品とは思えない先進性のある超技工的な音楽だ。舞曲の構成も卓越しており、聴き飽きることがない。この重要な作品を演奏するのは、現在古楽演奏最前線で大活躍するニキタソヴァ。オリジナル楽器の銘器を使用し、ピッチは466Hzと当時の研究を基に調律。演奏にもこだわり、肩に構える一般的なポジションポジションではなく、楽器を左胸の上部に押し当てて演奏しているという。まさにこのCDのジャケットの絵画(シモーネ・カンタリーニ「聖カエキリア」=音楽の守聖人)の人物と同様の演奏法だ。これは17世紀当時のヴァイオリン教本などにも記載されている演奏法で、この奏法だと弓の上げ下げで美しい響きが出せ、重音奏法しやすいのだという。反面、この演奏法による楽器のコントロールは大変難しいのだが、ニキタソヴァは音程のブレもなく、実に自然に、あたかも当然かのように弾きこなしている。これは本当にすごいことなのだ。当時の楽器で、そして当時の演奏法で完璧に再現されたヴェストホフの傑作を心行くまで聴いて欲しい。(須田)

    ※ニキタソヴァのホームページではこのCDの録音の様子の映像が公開されています。彼女が上記の演奏法でヴァイオリンを奏でている様子も映っています。ご興味のある方はぜひご覧ください。すごいです!
    https://nikitassova.com/

  • チェコの名グループによるゼレンカの名作
    『ゼレンカ:ミサ曲 1724年』

    ヴァーツラフ・ルクス指揮コレギウム1704&コレギウム・ヴォカーレ1704
    ACCENT ACC24363 輸入盤

    ボヘミア・バロックの巨匠ゼレンカの作品録音に燃えるチェコの気鋭のピリオド楽器グループによる最新作。1724年前後に別々に作られた典礼ミサに使用される曲を集め、ミサ曲として再構成したプログラム。不協和音と半音階上昇音階が緊張感を生むキリエ、弦楽器の付点のリズムが焦燥感を生み、次々と曲想が変化するグローリア、低音が刻むリズムに疾走感があるクレド。短調が意外なサンクトゥス、大団円にふさわしいアニュス・デイ。こうしたそれぞれの曲の個性がバラバラなのに、不思議なほど統一感が出てくるという点がゼレンカの独自の作曲技法の粋。しかもところどころバッハやヘンデルの諸作を思わせる面白さ。キリエの半音階上昇音階はバッハのヨハネ受難曲の合唱曲を思わせる。グローリアやクレドに頻繁に現れる特異な音の跳躍によるフーガはゼレンカ特有のものだが、バッハのカンタータにも使われている。クレドの「Crucifixus」では不穏な和声が不気味に響き、サンクトゥスはヘンデルの合唱曲を思わせるフーガのカッコ良さを持つキリエと同様の半音階上昇音階フーガが登場するアニュス・デイで閉じられるこのなんとも密度の濃い作品は、バッハやヘンデルが多大な影響を受けたという近年のゼレンカ評を音で確かめられるものだろう。ゼレンカの圧倒的才能を存分に教えてくれる演奏も優秀。もっともっと知られていいゼレンカの作品をぜひお聴きあれ!(須田)

  • アップライトチェンバロ?!
    『ニュルンベルク、ゲルマン国立博物館のクラヴィツィテリウム』

    ベルンハルト・クラップロット(クラヴィツィテリウム)
    AEOLUS AE10174 輸入盤

    なんとも珍しい楽器もあるものだ。このクラヴィツィテリウムなる楽器、なんと弦が縦に張られているという驚きの構造を持つチェンバロ。ドイツの国立博物館所蔵のこの貴重な楽器は1620年頃ドイツで作られたもので、1段チェンバロの鍵盤から先を立ち上げたようなインパクトあるルックスは、さながらアップライトチェンバロといった様相を呈す。響きがダイレクトに演奏者に伝わるというこの楽器、通常のチェンバロとの音の違いは録音では判別し難いが、ダイレクトな音は鮮烈に録音されている。この特異な楽器で、1600年頃のヴェネツィア派の影響を受けたドイツ鍵盤音楽を弾くのは、ドイツの腕利きチェンバロ奏者クラップロット。ルネサンスともバロックとも異なる響きや展開を持つマニエリスム然とした珍しい作品ばかりで、とても面白い。この珍奇な楽器で珍しい音楽の数々を鮮烈な録音で楽しんでほしい。(須田)

  • モーツァルトの息子の真価を問う一枚
    『フランツ・クサヴァー・モーツァルトピアノ作品集』

    カタジナ・ドロゴス(フォルテピアノ/ペーター・アントン・モザー1800年頃製作、ウィーン)
    CD ACCORD ACD260

    モーツァルトの息子フランツ・クサヴァーのピアノ作品集。息子と言っても生まれてからわずか4ヶ月後にモーツァルトはこの世を去ってしまったため、直接の指導は受けられなかった。しかしサリエリやフンメルに師事し、ピアニストとして成長、やはり神童モーツァルト2世として幼少期作曲も行っていたが、30代で作曲活動から離れ、ピアニストとしての活動に専念したという。冒頭の「ロンド ヘ長調」は父親を思わせる華麗な作品。「ピアノ・ソナタ ト長調 作品10」はベートーヴェンのスタイルをモデルに作曲された4楽章形式の大作。ラルゴの哀愁ある旋律が印象的だ。「ポロネーズ・メランコリック 作品22」はフランツ・クサヴァーの最高傑作で、ロマン派の芽吹きを感じる情感あふれる作品集。憂いのある美しさは絶品だ。「ロシアの主題による変奏曲 作品20」は世界初録音となる作品。ベートーヴェンの変奏曲に影響で作曲されたという。印象的なロシアの旋律を使い、巧みな作曲技法で変奏曲される曲は短いながらも聴きごたえがあり、フランツ・クサヴァーの豊かな才能を感じさせる。演奏者のドロゴスはオランダでフォルテピアノ演奏の先駆者ホッホランドに師事したポーランドの鍵盤奏者。1800年頃ウィーンで製作されたフォルテピアノを使用して、フランツ・クサヴァーの華麗な音楽の魅力を存分に引き出している。珍しい曲を録音したというだけでなく、作品と真摯に向き合った姿勢が伺える優れた演奏だ。偉大な父親のせいで、どうしても正当な評価を得られないフランツ・クサヴァーに一人の作曲家として光をあてる貴重なアルバムだろう。(須田)

  • 輝かしき二人の女性作曲家!
    『クララ・シューマン︰ピアノ三重奏曲、ファニー・メンデルスゾーン︰ピアノ三重奏曲、弦楽四重奏曲』

    ナッシュ・アンサンブル
    HYPERION CDA68307 輸入盤

    イギリスが世界に誇るスーパーチェンバーアンサンブル、ナッシュ・アンサンブルによる19世紀女性作曲家の室内楽作品集(CDジャケット絵画も18世紀の女性画家アンゲリカ・カウフマンの作品)。クララ・シューマンはローベルト・シューマンの妻で、自らが当時のスターピアニストだった。9歳でモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き、ドイツ中に天才少女として一躍知られるようになり、12歳ですでにコンサートツアーをしていたという。リストら当時の最高峰のピアニストと同列で扱われていた19世紀最高のピアニストの一人だった。後にはブラームスのミューズにもなっている。ピアノ演奏だけでなく、作曲も幼い頃から行っていたが、当時の社会状況は女性の作曲家を認める環境ではなく、偏見も多かったために40歳になる前に止めてしまったという。しかしその作品はリストに絶賛され、夫であるシューマンも認め、共作を行っていた。ピアノ三重奏曲は彼女の代表作でいかにもロマン派という美しいメロディと劇的な展開を持った作品で、夫のシューマンら他のロマン派の作曲家の作品と比べても遜色ない充実度を誇る。ファニー・メンデルスゾーンは、フェリックス・メンデルスゾーンの実姉で、その実力は天才と讃えられた弟にも匹敵し、近年では再評価著しい作曲家である。幼少期は父親から音楽活動を諌められていたが、結婚後、画家である夫の支えもあり、精力的な演奏活動と作曲、楽譜出版を行った。弟へ作曲にあたっての助言もしていたという。最近では、フェリックスの作品の中にもファニーが書いた作品があるのではないか(例えば、無言歌集)とまでされている。室内楽はファニーの作品の中でも代表的ジャンルで、最晩年に書かれたピアノ三重奏曲は充実したスケールを誇る。また弦楽四重奏曲は、現存する世界最初の女性作曲家による弦楽四重奏曲で、フーガなど対位法的書法が採用され、さながらロマン派風にしたベートーヴェン的テイスト。最終楽章の讃歌的旋律が各パートに受け継がれながら大団円へ向かって盛り上がる様は圧巻。この骨太で大きなスケール感は一般的な女性作曲家のイメージを覆すもので、ジェンダーを超えたもっと正当な評価をされるべき傑作と言えるだろう。それぞれがソリストとしても第一線で活躍するメンバーばかりからなるナッシュ・アンサンブルの演奏も息のあったアンサンブルが見事で曲のすばらしさをストレートに伝えている。もはや女性作曲家という括りさえ、過去のものとする名作をとくとお聴きあれ!(須田)

  • 「陰影の色彩」とは?新アプローチによるヴィヴァルディ!
    『ヴィヴァルディ︰「陰翳の色彩」〜チェロ協奏曲集』

    オフェリー・ガイヤール(チェロ&指揮)プルチネッラ・オーケストラ
    APARTE AP226(2枚組) 輸入盤

    時は18世紀後半、所はヨーロッパ。啓蒙主義時代を迎え、人々はその叡智を持って世の闇という闇に、影という影に光を当て、さまざまな知見からあらゆる物事を解明していこうとした。そんな時代の中で人々は暗闇を失っていった。しかし真実や美は光の中だけに存在するわけではない。光が当てられない暗闇にも真実も、そして色彩も存在する。谷崎潤一郎の“それらの美感は悉くどぎつい光線のために飛び散ってしまうだろう”(「陰翳礼讃」)という言葉を引用し、「陰翳の色彩」をアルバムのテーマに掲げ、陰翳の中にある美と色彩をヴィヴァルディの音楽の中に見出したのがこのアルバムだ。ヴィヴァルディが活躍した“海の都”ヴェネツィアは、光の都でもある。海面に反射する日光はまばゆく、都市の建造物を輝かせる。ヴェネツィア派の絵画も色彩鮮やかだ。しかし光があるならば、そこには必ず影が生ずる。まばゆい都市にも暗闇はある。ヴィヴァルディは輝かしい色彩を音楽で表現した一方で、漆黒の闇も描き出した。その対比こそ、ヴィヴァルディの音楽の真骨頂である。才能あふれるチェリスト、ガイヤールはヴィヴァルディのチェロ協奏曲の中から、そうした対比の激しい作品を選び出し、彫りの深い立体的な演奏でその対比を浮かび上がらせる。名手揃いのアンサンブル・メンバーとの丁々発止のやり取りと、多彩な通奏低音(ギターやハープ、プサルテリ、パーカッションまで導入する)を用いて、闇の中から色彩をえぐり出す。一辺倒になりがちなヴィヴァルディ演奏が多い中で、これほど多彩で変化に富み、光も闇も表現した演奏も稀であろう。光あふれるヴェネツィアの陰翳の美しさをヴィヴァルディの作品演奏で表現した画期的アルバムだ。(須田)

  • 混迷の時代だからこそ、さらに胸に響く鬼才渾身の楽曲!
    『ジェズアルド︰テネブレ』

    ビョルン・シュメルツァー指揮グランドラヴォア
    GLOSSA OGCDP32116(3枚組) 輸入盤国内仕様

    マショーの「ノートルダム・ミサ」の個性的演奏で、2019年のレコードアカデミーの古楽部門を受賞し、日本での知名度を上げた先鋭古楽集団グランドラヴォアが続いて送り出すのは鬼才ジェズアルドのテネブレ。16世紀後半のローマの資料を基にしたグレゴリオ聖歌を挟みながら、ジェズアルドのテネブレ・レスポンソリウムをプログラム。独特の“こぶし”が炸裂するグレゴリオ聖歌の歌唱に対応して歌われるジェズアルドのレスポンソリウムもまた強烈。驚くべきことにポリフォニー歌唱にも“こぶし”を加えられているのである(タリス・スコラーズやヘレヴェッへのグループの歌唱のアプローチとの何たる違い!)。にもかかわらず、音程的な不安定さはなく、随所で不穏な和音が炸裂するジェズアルドの妖しげな音響世界を見事に歌いきっている。聴き込んでいくと薄暗く不可思議な世界に迷い込んでしまった錯覚に陥る。そしてその混沌の先にある、ジェズアルドが請い求めた神の救いが見えるようだ。この混迷の時代にこそ、必要とされる作品であり、歌唱かもしれない。(須田)

  • ヴィオラの音色が心を揺さぶる。ヴィオラとピアノによるラテン音楽
    『カンティレーナ~ヴィオラとピアノによるスペイン&南アメリカ音楽集』

    タベア・ツィンマーマン(ヴィオラ) ハビエル・ペリアネス(ピアノ)
    harmonia mundi HMM902648 輸入盤

    現代最高のヴィオラ奏者、タベア・ツィンマーマンが、大活躍中のスペイン人ピアニスト、ペリアネスと組んだアルバム。ピアソラの「ル・グラン・タンゴ」からはじまるプログラムは、タイトル曲であるヴィラ=ロボスの作品を中心に添え、ファリャ、グラナドス、カザルス、モンサルバーチェといったスペインの作曲家の歌曲をヴィオラとピアノで奏でる、スペイン・ラテン・アメリカ音楽集。スペイン人特有のリズム感覚を持つペリアネスの歯切れの良いピアノに、濃厚なツィンマーマンのヴィオラの音が絶妙に絡む。ピアソラのタンゴの体感的なリズム、しっとりアンニュイなスペインの歌曲の魅力、カンティレーナでの思い入れたっぷりの表現。そしてアルベニスの「タンゴ」で締める秀逸なプログラム。まさにヴィオラとピアノが“歌う”魅惑のラテン・ミュージック・ワールド。初夏から真夏、晩夏まで。夏を通して、好きなお酒と一緒に、ゆっくり楽しみたい洒脱なアルバムだ。(須田)

  • 注目を浴びるサリエーリの世界初録音!
    『サリエーリ:カンタータ集』

    ティモ・ユーコ・ハーマン指揮ハイデルベルグ交響楽団

    hänssler HC19079 輸入盤

    映画「アマデウス」の影響により、「モーツァルトの才能に嫉妬し、しまいには毒殺した男」という不名誉なイメージを持たされてしまったサリエーリだが、21世紀に入り、再評価が進み、ここ数年はその作品の録音が相次いでいる。日本でも、あるソーシャルゲームでの人気からその伝記が復刊され、2019年のレコードアカデミーのオペラ部門では「タラール」が受賞し、実はスイーツ好きという意外な側面にスポットを当てた書籍が出版されるなど、その人気も急激に高まり、一種のブームが巻き起こっている。そんなサリエーリ再評価に勢いを与えたのが、2015年に「オフィーリアの健康回復に寄せて」という作品の発見だった。これはモーツァルトとサリエーリ、そしてコルネッティなる詳細不明の作曲家による共作で、歌詞はモーツァルトのいわゆる「ダ・ポンテ三部作」で有名なダ・ポンテが担当している。これは1785年、ウィーンを中心に活躍していたイギリス人ソプラノ、ナンシー・ストレースが病気により歌えなくなっていた状態から回復し、舞台復帰したことを祝い、わずか1週間あまりという短い期間で作曲されたという。彼女が歌う予定だったサリエーリのオペラの役柄にちなんでオフィーリアの名前がタイトルに使用された。この意外な共作は、不仲だという二人の関係性における風説を覆すものだったのだ。この作品を発見したのが、このCDで指揮を取るハーマンである。サリエーリ研究の権威であるこのドイツの音楽学者は、作曲家でもあり、以前からサリエーリの管弦楽作品を録音していたハイデルベルグ交響楽団との共同作業を続けていたことが、今回の録音へとつながった。このCDには「オフィーリアの健康回復によせて」のハーマンによる管弦楽伴奏編曲版を中心に、サリエーリのカンタータや小さな管弦楽作品を収録。そのほとんどが世界初録音となっている。ピリオド楽器奏法を大胆に取り入れた演奏で注目を浴びるハイデルベルグ交響楽団による優れた演奏と、ドイツ人実力派歌手たちによる歌唱がサリエーリの作品の真価を聴かせる。伸びやかな旋律と練られた管弦楽法はサリエーリの優れた才能を示すものだろう。サリエーリの作品の録音は大規模なオペラが中心で高額なCDばかりで、なかなか手を出しにくい面もあったが、このCD一枚に小規模なカンタータが4曲と管弦楽小品も収録されているので、サリエーリ入門にも良いだろう。良き教師でもあり、人気のオペラ作曲家でもあり、周りからの人望も厚かったというサリエーリは2020年に生誕270年を迎えた。この機会にサリエーリの音楽を楽しんでみてはいかが?(須田)

  • 「ヴァイオリンの妖精」が弾く圧巻のショスタコーヴィチ!
    『ショスタコーヴィチ︰ヴァイオリン協奏曲第1&2番』

    アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン)

    ヴラディーミル・ユロフスキー指揮スヴェトラーノフ記念ロシア国立交響楽団

    HYPERION PCDA68313 輸入盤国内仕様

    「ロシアのヴァイオリンの妖精」と称されるアリーナ・イブラギモヴァ。度々来日公演も行い、日本でも多くのファンを獲得している彼女の最新作は、ショスタコーヴィチ。ダヴィド・オイストラフに捧げられたこのロシアのヴァイオリン協奏曲の傑作を、ロシア出身の俊英ユロフスキーと、ロシアの巨星スヴェトラーノフの名を冠したオーケストラとともに録音。夜想曲、スケルツォ、パッサカリア、ブルレスケという個性的な構成を持つ大規模な第1番、オイストラフの還暦記念として作曲されたという第2番。個性の異なる2曲を、イブラギモヴァは鮮烈な技巧で弾きまくる。特に第1番のパッサカリアは圧巻だ。ユロフスキーが指揮する超重量級のオーケストラもものすごいパワフルな演奏を披露。今後、ショスタコーヴィチ録音の新たな名盤として注目を浴びることになるだろう。ロシア音楽ファンなら聴き逃せないアルバムだ(須田)。

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