銀座本店

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今月の必聴傾聴盤

銀座本店 クラシックフロア スタッフが選んだ“今月の必聴傾聴盤”(2019/3/12更新)
 
フライブルク・バロックオーケストラ、コレッリを録音!
コレッリ:コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)集(第1~5、7番)
     「聖ベアトリーチェ・デステ」のためのシンフォニア

ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(ヴァイオリン&指揮)フライブルク・バロックオーケストラ(FBO)
 
【APARTE】 AP190 輸入盤
 
数十年に渡り、古楽界を牽引する気鋭のピリオド楽器オーケストラ、フライブルク・バロックオーケストラによる待望のコレッリ録音。音楽監督でコンサートマスターであるバロック・ヴァイオリンの名手ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツがAPARTEレーベルにおいてソロ録音を開始して以来、積極的なリリースを続けている。今作、コレッリのコンチェルト・グロッソ集では、冒頭に他者のオラトリオ作品への序曲として作られたシンフォニアを置いている。このシンフォニアはコレッリ自身では未出版であり、オラトリオの上演に際して作られた、いわば機会的作品なのであるが、これが管楽器を伴う大規模なもので、作風もコレッリが出版した6つの作品集の中の作品とは一線を画す、大変劇的なもの。当時の有名な貴族エステ家の先祖に当たる聖女をテーマとしたオラトリオの内容にあわせてコレッリが仕立て上げたと考えられる。必要とあらば、こういった自らの作風とは異なる作品も手掛けたという、コレッリの新たな側面を知ることができるだろう。この劇的作品を序曲のようにして、コンチェルト・グロッソが配置されているわけであるが、この録音では、通常は弦楽合奏と通奏低音という編成のところ、管楽器を任意で加えて演奏している。しかも管楽器はただ弦楽器パートをなぞるだけでなく、独自の動きも加えているのだ。FBOの驚異的な合奏能力もあいまって、コレッリのコンチェルト・グロッソはよりスケール感を増した音楽へと変貌、圧倒的な迫力を持って聴き手を魅了する。コレッリの新たな魅力を発見できる一枚だ。(須田)
 

  • 鬼才マンゼが指揮するモーツァルトの最後の交響曲2編

    モーツァルト:交響曲第40番&第41番「ジュピター」

    アンドルー・マンゼ指揮ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

    【PENTATONE】 PTC5186757(SACDハイブリッド) 輸入盤 

    バロック・ヴァイオリンの鬼才として1990年代後半から2000年代に一世を風靡したアンドルー・マンゼ。バッハの「トッカータとフーガ」をいち早く無伴奏ヴァイオリンで演奏したり、タルティーニの「悪魔のトリル」を無伴奏で演奏してみたり、ボヘミア初期バロックの知られざる天才作曲家パンドルフィ・メアッリの衝撃的な録音を出したりと、とにかく新録音の度に古楽ファンを驚かせてきたマンゼだが、突然ヴァイオリン録音を辞め、指揮者に転向。モダン・オーケストラを指揮し、ベートーヴェンの「英雄」を発表して、またもやファンを驚かせてきた。今では、気鋭の指揮者としてヨーロッパ中で大活躍中。その録音もバロックから近現代までと、かなり幅広い。現在、首席指揮者を務めるハノーファー北ドイツ放送フィルとは、メンデルスゾーンの交響曲全曲を発表し、日本でも高い評価を得たが、今回はモーツァルトの最後の2曲の交響曲を出してきた。メンデルスゾーンの録音と並行して進められたライブ収録によるプロジェクトのようで、マンゼのかつてのヴァイオリン演奏同様、既成概念にとらわれない彼ならではの斬新な演奏となっている。ピリオド楽器奏法を取り入れたオーケストラの引き締まった響きは魅力的で、マンゼの独特の指示にも柔軟に応えている。またマンゼのヴァイオリン演奏の特徴の一つとして緩徐楽章の濃厚な表現があったが、こうしたオーケストラ録音でもその特徴は感じられ、第40番の第2楽章の内容の濃さはかなりものだ。極め付けは、4つの主題が入り交じる「ジュピター」の最終楽章の複雑さ。まるでルネサンスのポリフォニーのように各声部が交差し、圧倒的な大団円を迎える。指揮者としてのマンゼの注目度がより増していくことが容易に予想できる快演だ。(須田)

  • イザベル・ファウスト、バッハの協奏曲を弾く!

    イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)ベルリン古楽アカデミー

    【harmonia mundi】HMM902335(2CD)  輸入盤

    今もっとも注目を集めるヴァイオリニスト、イザベル・ファウストによる新録音はバッハのヴァイオリン協奏曲集。独奏協奏曲2曲と2つのヴァイオリンのための協奏曲1曲という通常の3曲に加えて、オーボエとの二重協奏曲、チェンバロ協奏曲からの復元協奏曲、カンタータからのシンフォニア、オルガン独奏曲からの編曲によるトリオ・ソナタ、そして、フルートではなくヴァイオリンが独奏を務める管弦楽組曲第2番の初稿版まで含めている。バッハのヴァイオリンが活躍する協奏曲形式の音楽を集成したとも言える意欲作だ。基本的に颯爽としたイメージを与える早目のテンポ設定で、そのドライブ感に心が躍ること請け合い。特に、管弦楽組曲第2番でのファウストの圧倒的な独奏は聴きもので、超高速「バディヌリ」には驚かされるだろう。ファウストは古楽演奏時に用いている愛器ヤコブ・シュタイナーを手に、バッハの名作を弾きまくる。圧倒的なファウストの妙技とベルリン古楽アカデミーの驚異的合奏能力には脱帽だ。(須田)

  • フランス古楽界の雄ルセによるクープラン・ベスト

    「クープランとわたし」

    クリストフ・ルセ(チェンバロ&指揮)レ・タラン・リリク

    【APARTE】 AP193(2CD) 輸入盤

    フランス古楽界でトップを走り続けるチェンバロ演奏の巨匠にして優れた指揮者でもあるクリストフ・ルセ。数十年にわたりレーベルを移籍しながらも数多くのソロ録音、指揮録音を行ってきたルセによるフランソワ・クープラン作品の録音を、APARTEだけでなく、オワゾリールやハルモニア・ムンディなど他のレーベルのものまで集めた「クープラン・ベスト」というべきアルバムがこの「クープランとわたし」。フランス・バロックの大作曲家フランソワ・クープランがルセにとって特別な存在で、これまでにもクラヴサン作品全集をはじめ、室内楽、合奏曲、宗教曲などのクープランのあらゆる作品を録音、どれも質の高い演奏でさまざまな国際的な賞も獲得している。ここにはそれら優れた録音から、ルセ自身が選んだベスト・テイクがCD2枚分たっぷりと収録されている。収録作品は多岐にわたっているので、クープランという作曲家の概要をこの2枚で知ることができる。フランソワ・クープランという作曲家の、そしてフランス・バロック音楽の入門編として最適だ。ルセによるクープランのベスト、至福の130分をじっくりと楽しんで欲しい。(須田)

  • イギリスの新鋭グループによるバッハの初期カンタータ!

    J.S.バッハ:カンタータ第106番「神の時こそいと良き時」&第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」、モテット第5番「来たれ、イエスよ、来たれ」、他

    アミチ・ヴォイシズ

    【HYPERION】 CDA68275 輸入盤

    イギリスの若きアンサンブル、アミチ・ヴォイシズによるバッハの初期カンタータ2編。アミチ・ヴォイシズは、バッハの「ヨハネ受難曲」を演奏するために2012年に結成された新鋭グループ。ドイツ・バロックを主要レパートリーとしているとのことで、すでに実演ではバッハの「マタイ受難曲」「ミサ曲ロ短調」などの主要作品を手掛けているようだ。元来、イギリスのバッハ演奏の歴史は、本場ドイツ以上とも言えるのであるが、その伝統がこうした若手グループにもきっちりと受け継がれている。また、一部のイギリス勢の演奏にかつて感じられたドイツ語発音の「英語っぽさ」もなく、明瞭に言葉を発し、音楽と重ねていることが聴いていて理解できるだろう。音楽と歌詞が高次元で融合するバッハの教会音楽において、言葉の意味を音楽に乗せて伝えようとする意欲が伝わる好演なのだ。歌手も粒ぞろいで実力が高く、メンバーの一人としてイギリスで活躍するテノール歌手、尼子広志さんの名前もあることは、うれしい。器楽陣も、ヴィオラ・ダ・ガンバの世界的名手、市瀬礼子さんをはじめ、腕利きぞろい。他の作品の録音も待ち遠しくなる、すばらしい演奏だ。イギリスの若き才能たちによるバッハ演奏をお楽しみあれ。(須田)

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