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“今月の必聴傾聴盤クリスマス特別号”

銀座本店 クラシックフロア スタッフが選んだ“今月の必聴傾聴盤”クリスマス特別号(12月5日更新)
 
今年のクリスマスアルバム最注目盤!ザ・シックスティーンのルネサンス・クリスマス
『ルネサンス・クリスマス』
ハリー・クリストファーズ指揮ザ・シックスティーン
【CORO】 COR16167 輸入盤

 必聴傾聴盤クリスマス特別号をお届け。今年はクリスマス・アルバムの注目盤が目白押し!
 まずは世界最高峰の実力を持つ合唱団のひとつ、ザ・シックスティーンによる新しいクリスマス・アルバム!ルネサンス時代のクリスマスに関連する合唱曲を集めた1枚。ジャケット画は生まれたばかりのイエスの下に来訪する東方三博士を描いた絵画が用いられているが、その内容の通りのエピソードをテーマとした曲を中心として収録。14世紀のキャロルからザ・シックスティーンならではの人の声の持つパワー全開。続くスヴェーリンクの「今日、キリストが生まれたまいぬ」では、リズミカルな声部の掛け合いがクリスマスのハッピーな気分を掻き立てる。単旋律聖歌「来たれ、来たれ、エマヌエル」では単純な旋律ながら歌の力で一気に聴かせる。イギリスの巨匠タリスの荘厳な「主の御母の奇跡を見よ」では、しっとりと神秘的に歌い上げ、厳かな雰囲気を再現。他にもビクトリアやラッスス、バードといったヨーロッパ各国のルネサンス時代の大作曲家の名作を散りばめているので、バラエティに富んでおり、多彩で飽きることのないアルバムに仕上げている。それにしてもザ・シックスティーンの歌唱は人の声の力というものをまざまざと知らしめてくれる。圧倒的な表現力には敬服する他ない。「ジングルベル」や「きよしこの夜」といったクリスマス定番曲は聴き飽きたという方、まだまだ奥深いクリスマス音楽を知ることができるこの一枚をどうぞ!(須田)

  • 気鋭のピリオド楽器アンサンブルによる小編成クリスマス・オラトリオ

    『J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ』
    ダニエラ・ドルチ指揮ムジカ・フィオリタ
    【Pan Classics】 PC10393(2CD) 輸入盤

    「メサイア」などのバロック時代の大規模声楽作品を小編成で録音し、目覚ましい成果を挙げているムジカ・フィオリタによるバッハのクリスマス・オラトリオ。もちろん、合唱はソリストプラス2名の計12名(エヴァンゲリストは除く)、弦楽器は2・2・1・1・1、管楽器も各パート一人ずつという小編成である。バッハ・コレギウム・ジャパンにも参加し、その妙技を聴かせてくれている名手マドゥフがトランペットとホルンで加わっているが、ただでさえ演奏の難しい古楽金管楽器を圧倒的な技巧で披露。そのすごさには瞠目せざるを得ない。少人数の合唱も精緻で、独唱陣の表現力も豊か。小編成なのに迫力にも事欠かないという、実に優れた演奏を堪能できるのだ。クリスマス・オラトリオには名盤が数多いが、新時代の名盤としてオススメできるすばらしい演奏だ。(須田)

  • 雰囲気満点の古いクリスマス音楽集

    『SILENT NIGHT~きよしこの夜~古いクリスマス音楽とキャロル』
    アリアンナ・サヴァール&ペッテル・ウトランド・ヨハンセン ヒルンド・マリス
    【DHM】 1907587897-2 輸入盤

    古楽×クロスオーバーのジャンルで目覚ましい活躍を見せるアリアンナ・サヴァール&ペッテル・ウトランド・ヨハンセンによるアンサンブル、ヒルンド・マリスがおくるクリスマス・アルバム。表題曲「きよしこの夜」をはじめ、イングランド、アイルランド、プロヴァンス、ノルウェー(ヨハンセンの母国)、カタルーニャ(アリアンナ・サヴァールの母国)、そしてサヴァールの自作まで加えたヨーロッパを旅するプログラム。透明感あふれる二人の歌に加え、腕利きヒルンド・マリスのメンバーが、各種ハープ、ハリングフェレ(ハルダンゲルヴァイオリン)、マンドリン、ヴァイオリン、シターン、フルート、アコースティック・ギター、ダブルベース、パーカッションなどなどの古楽器、民族楽器、現代楽器を自在に持ち変えて雰囲気満点に奏でる。素朴ながらも彩りあふれる演奏はクリスマス気分をじわじわと盛り上げてくれるだろう。寒い日に温かい部屋でぬくぬくしながら、その世界に浸っていたくなる極上のクリスマス・アルバムだ。(須田)

  • 生まれたての『メサイア』が日本人の手でよみがえる!

    『ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(1741年初稿版)』
    三澤寿喜 指揮 キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団(ピリオド楽器による)
    【コジマ録音】  ALCD9190(2CD)国内盤

    ヘンデルの珍しい作品の日本初演を数多く手掛け、有名曲も珍しい版で演奏するなど、世界的にも注目を浴びる音楽祭ヘンデル・フェスティヴァル・ジャパン。音楽祭を主宰する三澤寿喜氏が指揮するこの「メサイア」は、最新の研究に基づき限りなく初演に近い形で再現されている。ヘンデルは自作を演奏するとき、同じ曲でも時と場合に応じてさまざまな改編を加えて演奏していた。この初演盤では、金管楽器が加わらないシンプルな編成がまず特徴的。これによって室内楽的な親密さが生み出されている。またアリアの声部が大きく変更されているのも驚きで、例えば、有名なアルトのアリアがバスになっており、曲も随分と趣を違えている。もともと「メサイア」がこの形だったことに驚かされることだろう。三澤氏は、「メサイア」は宗教的な内容ながら、教会向けの作品でなく、劇場用のエンターテインメント作品であることを解説でも強調しているが、演奏もその主張通り、まるで劇場用作品のように楽しげな雰囲気に満ちている。「メサイア」の主題自体キリストの生涯を描くものであり、特にクリスマス用作品ということではないが、イエス生誕の場面である「ハレルヤ」が突出して有名になったため、クリスマス時期に演奏されることが多いので、こういう演奏でキリストの誕生を祝うのも一興だ。(須田)

  • ヴェスプロに新解釈?通奏低音伴奏によるシンプル演奏。

    『モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り~声楽と通奏低音のみによる17世紀式解釈』
    ブリュノ・ボテルフ(音楽監督・テノール)ルドゥス・モダリス
    【RAMEE】 NYCX10021(2CD) 輸入盤国内仕様

    最後はクリスマス作品とは言えないけれども、聖母マリアをテーマとしているということで、私の大好きな作品であるモンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」(通称:ヴェスプロ)をご紹介したい。同曲の新録音は、どれも趣向を凝らした解釈や試みがあり、まさに十人十色であるが、この録音はそんな中でも稀有なものとなるだろう。通常は合唱とさまざまな楽器が必要となる同曲を、声楽と通奏低音だけで演奏したという珍しい試みによるからだ。モンテヴェルディ自身もこの曲を幅広く知らしめるため、さまざまな状況での演奏が可能なように楽譜に記しており、たくさんの楽器が用意できない場合にも対応できるようにしていたのだ(この詳細は附属の解説書を参照していただきたい)。演奏は、このシンプルな編成ながら迫力も欠かず、精緻さを要するという相当に高度なもの。アンサンブル・クレマン・ジャヌカンで見事な歌唱を聴かせていたボテルフが指揮するだけはある。楽器陣も少ないだけに相応の高い技量が求められるが、それを難なくクリアし、この編成でしかなし得ない繊細な表現さえ盛り込んでくる。歌も楽器も見事としか言いようがない妙技を聴かせてくれているのだ。 さすがにほぼ器楽合奏ソナタの形式である「サンクタ・マリア」は楽器の数が足りないため、モンテヴェルディの同時代人の鍵盤音楽の巨匠フレスコバルディのオルガン曲に置き換えられているが、これも曲全体に違和感なく溶け込んでいるのだから不思議なものだ。新しいヴェスプロの聴き方を提示してくれる名盤として強くオススメしたい。※通奏低音伴奏版には30年近く前にヘルマン・マックスとライニッシェ・カントライによる見事な録音があったが、現役盤ではなく、また今回の録音とは解釈も異なる。よってマックスの演奏を楽しんでいたファンの方でも十分楽しめるはずなので、「通奏低音版はもう知ってるよ」という方にもぜひお楽しみいただきたい。(須田)

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