銀座本店

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今月の必聴傾聴盤

銀座本店 クラシックフロア スタッフが選んだ “今月の必聴傾聴盤” (2018/11/3更新)

①アレッサンドリーニによるバッハ録音最新作。盟友とのフルート・ソナタ集
J.S.バッハ:フラウト・トラヴェルソとチェンバロのためのソナタ
ラウラ・ポンテコルヴォ(フラウト・トラヴェルソ)
リナルド・アレッサンドリーニ(チェンバロ)
【ARCANA】 A453 輸入盤
“バロック・ヴァイオリンの神様”エンリーコ・ガッティとの共演によるヴァイオリンとチェンバロのためのアレンジ作品集「着せ替えバッハ」(GLOSSA)が大きな話題を呼び、日本でも大きなセールスを記録している天才鍵盤奏者リナルド・アレッサンドリーニが、立て続けにバッハ・アルバムをリリース!今度は、自らのグループで20年に渡ってフラウト・トラヴェルソ奏者を務めているという、ラウラ・ポンテコルヴォと組んだアルバムである。才気あふれるアレッサンドリーニが手掛けるのだからただのバッハのフルート・ソナタ集とはならない。やはりここでもオリジナル作品2曲と共にアレンジ作品2曲を並べている。オリジナルのフルート・ソナタは真作が疑われている第2番を除いた第1番と第3番を収録。しかも未完の第3番はアレッサンドリーニ自ら補筆している。アレンジものは、ヴァイオリン・ソナタ第6番とオルガンのためのトリオ・ソナタ第2番。バッハのソロ・ソナタはどの楽器のものも、トリオ・ソナタの要素が強いが、二人の演奏もフラウト・トラヴェルソとチェンバロの右手&左手で明確に分けられたトリオ・ソナタを意識した見事な演奏となっている。バッハ作品の醍醐味を聴くにふさわしい演奏と言えるだろう。興味深いのはそれだけではない。フラウト・トラヴェルソはバッハ所縁のドレスデン宮廷の楽団で活躍したビュッファルダンに由来する楽器の精巧なレプリカを、チェンバロもバッハが生きていた時代に製作された楽器の精巧なレプリカを使用、ピッチもa’=415というバロックピッチを取り入れている。まさにバッハが聴いていた響きを再現するような試みだ。バッハがフラウト・トラヴェルソという楽器を自らの音楽のなかでどうとらえていたか、それを演奏で示した実に内容の濃いアルバムとなっている(須田)     
 
 

  • 合唱界の巨匠ベルニウスと気鋭の弦楽アンサンブルが挑む若き日のメンデルスゾーンの交響曲

    メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第7、9、12番

    フリーダー・ベルニウス指揮ボルツァーノ弦楽アカデミー

    【Hanssler】 HC17052 輸入盤

    “合唱界の生ける伝説”とも言える偉大な指揮者フリーダー・ベルニウス。これまで自ら創設したシュトゥットガルト室内合唱団を世界最高峰のレベルにまで育て上げ、世に出したアルバムは100を越え、そのうち4割以上が国際的な賞を獲得しているという、まさに合唱界では神様のような存在。バロックからロマン派を経て、現代に至るまでの合唱曲を、圧倒的な説得力で聴かせるその実力は世界中で称賛されている。そんなベルニウスが優れた弦楽アンサンブルと共演した、メンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲集」がCD化された。2006年録音だというからいかなる理由で発売されなかったのか気になるが、その内容はすばらしい。メンデルスゾーンはベルニウスが最も愛し、力を注ぐ作曲家の一人で、20年以上をかけて宗教的合唱作品全集を録音(CARUSレーベル)、その魅力を世界中に再認識させた(それらは現在でもアマチュア合唱団の格好のお手本となっている)。また『真夏の夜の夢』の録音ではピリオド楽器を用い、ドイツ語の台本を役者に朗読させ、劇付随音楽の醍醐味を聴かせる、などメンデルスゾーンに対する思い入れがことのほか強いのだから、チロル地方のドイツ語圏に程近い都市ボルツァーノの名前を冠した弦楽アンサンブルとの共演において、メンデルスゾーンを選んだのはベルニウスにとって至極当然のことなのだろう。「スコットランド」や「イタリア」など有名な5曲の交響曲を書き上げるより前、10代のメンデルスゾーンが書いていたのが、12曲の弦楽のための交響曲だった。これらは若きメンデルスゾーンによる、バッハをはじめとするバロック音楽の研究が活かされた佳品の数々で、バロック音楽の書法の根幹となる対位法がふんだんに盛り込まれている。バロック音楽の合唱作品で対位法の扱いを得意とするベルニウスが、こうした作品の解釈に向いていないはずがない。作曲家として幼少期から圧倒的な才能を発揮していたメンデルスゾーンの天才性を余すところなく伝えてくれるのだ。ボルツァーノ弦楽アンサンブルもベルニウスの解釈にしっかりとついていく高い技術を聴かせてくれる。合唱作品でなくともすごいベルニウスの指揮にご注目あれ!(須田)

  • 最高峰の古楽器アンサンブルによるブランデンブルク協奏曲

    J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)&管弦楽組曲第2番

    アルフレード・ベルナルディーニ(オーボエ&指揮)

    ゼフィーロ・バロック・オーケストラ

    【ARCANA】 NYCX10015(2CD) 輸入盤国内使用日本語解説付

    世界屈指のピリオド楽器アンサンブル、ゼフィーロがブランデンブルク協奏曲を録音!数多くのピリオド楽器アンサンブルがこの名曲を録音しているので、もう食傷気味の方もいるだろうが、ゼフィーロによるこの録音はまた別格ととらえていただきたい。なんといってもメンバーが目を疑うほど豪華なのだから。ヴァイオリン独奏は、ダンディン・コンソートなど気鋭のピリオド楽器グループからトップ奏者としてひっぱりだこという名手チェチーリア・ベルナルディーニで、各曲のソロで存在感を示す見事なテクニックを披露している。ナチュラル・トランペットはこの楽器におけるイタリアの代表格的名手ガブリエル・カッソーネ。第2番での高速パッセージもなんなく吹きこなす超絶テクニックがすごい。フラウト・トラヴェルソはあの“バロック・ヴァイオリンの神様”エンリーコ・ガッティの弟マルチェロ・ガッティで、第5番での妙技は聴きもの。第4番で活躍するリコーダーはドロテー・オバーリンガー&ロレンツォ・ガヴァサンティというソロ奏者としても大活躍する名手二人。2本のリコーダーのアンサンブル力には脱帽だ。他にも第6番だけに用いられるヴィオラ・ダ・ガンバには大御所ローレンツ・ドゥフトシュミットが参加し、オーボエは指揮も兼ねるアルフレード・ベルナルディーニらゼフィーロでおなじみのメンバー。通奏低音には、ソロ録音も多く、あのアンサンブル・アウローラでも活躍したガエターノ・ナジッロ(チェロ)や第5番での独奏も見事な若き天才フランチェスコ・コルティ(チェンバロ)など、挙げ出したらきりがない。ちなみにヴァイオリンとヴィオラにはヨーロッパの古楽シーンで大活躍する松永綾子さんも参加している。これだけのメンバーが集まった録音であるのだから面白くないはずがない。しかもa’=398という低めのピッチ、それぞれに凝った使用楽器、イタリアのアンサンブルらしい豊かな色彩感、と注目点ばかり。加えて管弦楽組曲第2番もカップリングされている豪華な内容。これは古楽ファン、バッハ・ファンなら聴き逃せないアルバムだ(須田)

  • あのレオナルド・ダ・ヴィンチの時代の音楽が生き生きとよみがえる!

    カタリナ・ボイメル&カペッラ・デ・ラ・トッレ

    【DHM】 1907586089-2 輸入盤

    「モナ・リザ」「最後の晩餐」など、世界中の誰もが知る絵画の作者と知られるレオナルド・ダ・ヴィンチ。絵画だけでなくさまざまな分野における才能を発揮し、現在では「万能の天才」と呼ばれているダ・ヴィンチだが、自ら職を得ようと王公貴族に売り込んだ最初の職業が実は音楽家だったことはあまり知られていないだろう。彼の残した膨大な手稿には、彼が考案したさまざまな楽器も描かれているのである。そんなレオナルド・ダ・ヴィンチの生きていた時代の音楽を再現しようという試みがこのアルバムだ。現在のオーボエの基になっているという木管古楽器ショームを中心に、ルネサンス時代の楽器を復元して用い、歌も交えて生き生きとその時代の音楽をよみがえらせる。おそらくダ・ヴィンチと親交があったであろう天才ジョスカン・デ・プレらの作品を収録。レオナルド・ダ・ヴィンチが手稿の中に落書きのように残したほんの一節の楽譜を演奏した曲も聴くことができる。これは現存するレオナルド・ダ・ヴィンチが残した唯一の曲である。ダ・ヴィンチ時代の音楽を聴けば、「モナ・リザ」や「最後の晩餐」といったダ・ヴィンチの有名絵画も違って見えてくるはず。この万能の天才がいた時代を多角的に感じるには必須のアルバムだ(須田)

  • 古楽の歌姫グレイス・デイヴィッドソンの新録音はダウランド

    ダウランド:リュート伴奏歌曲集第1巻

    グレイス・デイヴィッドソン(ソプラノ)

    デイヴィッド・ミラー(リュート)

    【SIGNUM】 SIGCD553 輸入盤

    新時代の“古楽の歌姫”グレイス・デイヴィッドソン。ヘンデルとヴィヴァルディの独唱のための宗教作品集では、美しい声を活かしたすばらしいバロック歌唱を聴かせてくれたが、次なるアルバムは、時代をさかのぼって、ダウランドのリュート伴奏歌曲集である。バロック・オペラの豪奢なアリア集を録音する歌手が多いなかで、なかなかリュート伴奏歌曲に取り組む歌手は少ない。聴き映えするのはもちろんオーケストラの伴奏を伴うバロック・オペラ・アリアであるが、リュート伴奏歌曲はシンプルであるがゆえに奥が深く、高い技術や表現力が要求される。まさに歌手にとっては本格的な、誤魔化しの効かない試金石となるため、よほどの自信がないと出せないのである。元々ザ・シックスティーンなど最高峰の実力を持つ優れた合唱団で研鑽を積んできた彼女である。バロックの作品だけでなく、ルネサンスのポリフォニーも歌い込んできた。その彼女が満を持して初のリュート伴奏歌曲集を録音したのだ。その成果は冒頭の曲を聴くだけで確かめられる。美しい声ときれいな英語の発音、言葉への繊細な情感の乗せかた、独特の間。じっくりと聴き込まざるを得ない歌唱がここにはある。リュート伴奏歌曲を得意としたイギリスの古楽系女性歌手と言えば、不世出の名歌手エマ・カークビーであるが、グレイス・デイヴィッドソンはその後継者とも系譜に連なるとも言える稀有な存在だろう。ダウランドのメランコリックな旋律が彼女の美しい声と卓越した歌唱力で、聴き手の胸に迫る、最高のアルバムと断言したい。(須田)

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