銀座本店 5F フルートサロン

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フルートの故郷~ボストンのハンドメイドフルートを紹介

今日、日本の埼玉県を中心とした地域には数々のフルート工房が存在し、私たちに魅力あふれるフルートを提供しています。
この地の工房では数多くの技術者がフルート製作に携わっていますが、その中には近隣にあった工房から独立し、独自の工房を構えたという技術者が数多く存在しています。

埼玉県と同じく、ボストンにもまた同じような流れで独立した技術者による、数々のフルート工房があります。

100年以上の歴史を誇るヘインズは、1888年からボストンでフルート製作をしています。

ヘインズフルート工房の技術者だった Verne Q. パウエル氏は1927年、同じボストンにパウエルフルート社を設立しています。
それ以来ヘインズとパウエルは、世界中のフルーティストが愛用するブランドとして長く君臨しています。

分業主体ではなく「一人の製作者が一本のフルートを作り上げる」というのがボストンのフルートづくりの伝統で、技術者が楽器を見ればだれが作ったものか一目でわかるといいます。

そんなフルート製作の思想は技術者の独立を容易にしたのかもしれません。なにしろ一人でフルートを丸ごと作ることができたのですから。
パウエルからは後のボストンを代表するような数々のフルート製作家が巣立っていきました。

後に自分の工房を開いたアルメーダ、ランデール、グースマン、オストロフとセガーマン。
偉大なフルートメーカーとなったブランネンの兄弟、シェリダン、バーカート、そして日本からパウエルの門をたたいたナガハラ(永原完一)。
さらにはマッケンナ(メカーナ)やウイリアムスといった技術者もパウエル出身です。

最近ではブランネンからの独立が多く、ピッコロのキーフ、木管フルートのエイベル、最も新しいところではレヴィットといった技術者がそれぞれの工房を構えています。

「そんな一つの街に工房がたくさんあって…」と思ってしまうかもしれませんが、実はフルート製作におけるボストンエリアは非常に広く、中心地から車で1時間くらいのところまでがボストンとされています。もちろん本当のボストンはそんなに広くはありません。

かつてパウエルを独立する技術者には決まりごとがありました。
それは、独立後5年以内は独自のフルート本体を製作することはできず、工房もある一定の距離が離れた場所でなければならないというものでした。
実際バーカートが工房を構えた際は5年間フルート本体を製作せず、ピッコロと頭部管だけでスタートしています。

ボストンのフルートは今日まで世界中のオーケストラで愛用されています。
その共通する特徴はひと言で言えば「遠鳴りする音質」。
明るいとか柔らかいとかメーカーごとに異なる特徴はもちろんあるものの、音が良く通るということについては共通です。きっと継承されるDNAなのでしょう。

  • 現在ボストン郊外に工房を構える永原完一氏。1977年から1986年まではサンキョウフルートに在籍。1987年に渡米し、パウエルフルート社にて「パウエルピッコロ」の製作にあたった(#7350~#8254の内の約150本が永原氏の手によるもの)

  • こちらもボストン郊外に工房を構えるリリアン・バーカート氏。1979年にパウエルフルート社に入社。管体、頭部管製作、テスターの職を経て1984年からピッコロの製作に従事。1991年独立。

  • 長らく拠点をドイツのケルンに移していたが2017年からボストンに戻ったダナ・シェリダン氏。1972年ヘインズ社でフルート製作を開始。1977年パウエルフルート社入社。1981年には運営統括責任者となる。その後ブランネンブラザーズ社を経て1982年独立。

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