トロンボーン

トロンボーンは人の声に一番近いとされ、15世紀頃から聖なる楽器として宗教的な音楽(主に教会)で旋律を支える役目として演奏されていました。
トランペットやホルンなどと同じ金管楽器で、唇を振動させることで音を発生させ、マウスピースを通じて楽器本体に伝えていきます。楽器はその振動音を響かせる拡張器の役割を持っています。
他の楽器のようにキィやピストンを押して音を変えるのではなく、スライドを伸び縮みさせて音程を変えるため、非常に細かいピッチも取ることができます。ハーモニーを作るのが得意な楽器です。また、音が途切れることなく連続的に音程を変えられるので、多彩な音楽表現が可能です。吹奏楽、オーケストラ、ジャズなどあらゆるジャンルで使用される楽器です。

トロンボーンの種類 CATEGORIES

トロンボーンはオーケストラや吹奏楽、ジャズなど幅広いジャンルで活躍する楽器です。大きく分けて4種類ありますので、それぞれの特徴を紹介します。

テナートロンボーン(B♭)

基準音がB♭(シ♭)のトロンボーンです。
ロータリーなどの複雑な構造を持たないもっともシンプルな形のテナートロンボーン。テナートロンボーンは一般的にクラシックで多く使用されるテナーバストロンボーンよりも若干、管の太さが細く造られているものが多いです。細管や中細管と呼ばれますが、管が細いのではっきりした明るいサウンドになりやすく、比較的、楽な息で吹ける傾向になります。

その特徴を活かし、ジャズやバンドのホーンセクションなど、ポピュラー音楽に使用されることが多いです。

細管や中細管よりも管が太い太管のテナートロンボーンも存在します。こちらはオーケストラの一番奏者向きで、しっかりした息と正しい奏法で吹くと美しく豊かな音が出ますが、技術と体力が必要です。

テナーバストロンボーン(B♭/F)

管を長くすることができる迂回管の付いたロータリーセクションを持ったトロンボーンが一般的にテナーバストロンボーンと呼ばれています。
B♭の基準音にプラスして親指のレバーを押すとロータリーバルブで管が切り替わりF(ファ)の音が基準音となります。
テナーバストロンボーンは比較的、太い管で造られているものが多く、音も細管のテナートロンボーンよりも太く、柔かい傾向にあります。そのようなことから、吹奏楽やオーケストラなどのクラシック音楽に使用されることが多いです。
また、迂回管が付いているのでテナートロンボーンでは出せない低音域を奏でられたり、遠くまでスライドを伸ばさずに演奏できるのも特徴です。
最近の吹奏楽部の中高生のほとんどがこのテナーバストロンボーンを使用しています。

バストロンボーン(B♭/F/G♭/Dなど)

バストロンボーンはテナー、テナーバスよりもさらに太いボア(管の太さ)と大きいベルを搭載した設計で、吹奏楽、オーケストラ、ビッグバンドなどジャンルを問わず、トロンボーンの最低音パートを担当する時に使用されることが多いです。
現代のバストロンボーンは、大抵2個または1個のロータリーセクションを持ち、そのため遠いポジションまで腕を伸ばさなくても低い音が得られます。
また、バストロンボーン用の深めのカップを持ったマウスピースで吹くことにより、響きも豊かな低音を奏でることができます。
一般的に、2個のロータリーバルブを主管に沿って直列に並べる形態のものをインライン、2個目のロータリーバルブが主管にではなく1個めのバルブから伸びた迂回管に付いたものをオフセットといいます。
1個目のロータリーバルブを使用した際の調性はFになるものが多く(抜差管を長く抜くことによりEに変更できるものもある)、インラインのバストロンボーンに関してはもう1つのロータリーバルブも単独で使用することができます。(調整はG♭のものが多いです)
オフセットに関しては2個めのロータリーバルブを単独で使用してもその部分には息が通らないため、調性は変わりません。
さらにインライン、オフセット共に2つのロータリーバルブを同時に使用することで調性をDやE♭に変更することができ(最近の楽器はDになるものが多いです)、低音域での演奏に重宝します。
インラインとオフセットのどちらを選択するかは考え方の違いはありますが、低音域での演奏の際に使用するスライドポジションや吹奏感の好みで選ばれることが多いです。
インラインはロータリーバルブの使用の有無に関係なく、常に2つのバルブ部分を息が通るのに対し、オフセットは通常時と1個めのロータリーバルブを使用する際は1つのバルブ部分しか息は通らず、そのため開放的な吹奏感、響きを得られるものが多いです。

アルトトロンボーン(E♭)

アルトトロンボーンはテナートロンボーンよりもやや小ぶりで4度上のE♭管が一般的ですが、中にはF管のものもあります。
音色もテナートロンボーンと比較して明るく軽やかな傾向にあります。
現代のオーケストラではテナーバストロンボーンとバストロンボーンの編成がほとんどですが、ベートーベンやシューマンの作品ではこのアルトロンボーンを使用することが多いです。
テナーバストロンボーンのようにロータリーセクションが付いてB♭管になるアルトトロンボーンもあります。

トロンボーンについて ABOUT

材質について

トロンボーンのベルに使用される素材の多くは真鍮(ブラス)と呼ばれる銅を含む合金です。そして配合される金属、比率によって何種類かに区分され、音色の傾向も変わってきます。中には銀を使用したのものもあります。
イエローブラス:銅70%・亜鉛30% 明るく輝きのある音
ゴールドブラス:銅85%・亜鉛15% 柔らかく力強い響きの音色
レッドブラス(ローズブラス):銅90%・亜鉛10% 柔らかく温かみのある音色
スターリングシルバー:銀92.5%・銅ほか7.5% 明るく、遠達性のある音色

シャンクについて

シャンクとはマウスピース・レシーバー(マウスピースを挿す部分)の太さ・形状を示す用語で、トロンボーンには大きく分けて細管、中細管(ドイツシャンク)、太管と呼ばれる3種類があります。ただし、現在の日本では中細管シャンクの楽器はあまり使われていません。
自分の使っている楽器が細管か太管なのかで使用するマウスピースが違ってきます。楽器やマウスピースを購入する際はシャンクがどちらなのかを確かめておきましょう。

価格について

お手ごろ価格で手にできる楽器は比較的、初めての方でも鳴らしやすく、吹きやすい設計になっています。それに対し、値段が高くなるにつれ、製造の手間も加わり、吹き応えが増し、響きが豊かになっていく傾向にあります。また、それぞれの機種ごとに音色の持ち味があり耐久性もアップしますので、上級機種ほど長く飽きずに吹くことができると言えます。ぜひ店頭で吹き比べて、その違いを実感していただければと思います。