フルート FLUTE

フルート 二言三言

第11回 エドワード・アルメーダ~製作家から尊敬される存在

1990年頃の話です。
ボストンのフルートのことにとても詳しいお客さまからお話をいただきました。パウエル社出身の素晴らしい製作家がいて、その楽器が手に入る。パウエル社からは名だたる製作家が数多く独立しているが、その製作家は中でも特別素晴らしいとのこと。
仕事を初めて間もない私が「エドワード・アルメーダ」氏を初めて知ったのはその時でした。
アルメーダ氏はこのときすでに高齢の域に達していて、すでに500本近いハンドメイドフルートを送り出していました。日本にもわずかながら入ってきていたようで、当時この希少なフルートを使用していた奏者にも出会ったことを覚えています。

アルメーダ氏は、かのVerne Q・パウエル氏の直弟子であり、パウエル氏からパウエルフルート社を継承した4人の技術者のうちの一人でした。
1948年にVerne Q・パウエルのもとでフルート製作を始めていますが、1960年にはパウエル社のオーナーの一人となっていて、パウエルフルートの技術革新になくてはならない存在だったことがうかがえます。
初めてのアルメーダフルートが世に出されたのが1969年。その後の製作期間は20年強。 製作本数から推察すると1ヶ月に約2本程度のハンドメイドフルートを製作してきたということになります。
アルメーダ氏の製作姿勢は同業の他のフルート製作家からも尊敬されるほどのもので、実際複数の製作家がアルメーダ氏を高く評価していたことを記憶しています。

話は初めに戻りますが、やがてアルメーダ氏が製作した総銀のハンドメイドフルートが届きました。
当時はブランネン-クーパーが注文後4年待ちになっているという時代。 アルメーダ氏が製作をした1969年から1992年という時代は、まさにフルートが目覚ましく進化した時代でした。スケールや唄口の改良、材料やパーツの多様化や進化が進んだ躍進の時代! アルメーダ氏はその時代、一人の製作家として自身のフルートを進歩させていました。年代により唄口のカットを変化させ、晩年にはベネットスケールも取り入れるなど、時代ごとに高く評価される着実で継続的な進歩です。
こんなに素晴らしいフルートなのに知られていない…。多くの方々に試してもらいたい! そう思ったのもつかの間、まもなくアルメーダ氏は68歳でこの世を去ってしまいました。1992年のことでした。

写真はアルメーダ氏が最晩年に製作したフルートです。 総14Kゴールド製と管体14Kゴールド製。 500本以上製作したにもかかわらず、日本でこの楽器を見る機会はとても少ないですね。
ご紹介させていただいたアルメーダ。残念ながらどちらもすでに店内にはありません。ただもしこの先「ALMEIDA」フルートをどこかで目にされることがあったら、少しだけこんな話を思い出していただき、 その素晴らしさを共有していただけたらと思います。

(文責 細村)

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