チェロ

現在のチェロのスタイル、演奏が確立したのは実は18世紀以降となります。ヴァイオリンより200年ほど後のことです。
18世紀になるとバッハやヴィヴァルディ、ボッケリーニといった作曲家の登場によって多くのチェロ作品が書かれます。そしてヴァイオリンに並ぶほどの独奏楽器に発達していきます。
チェロの音域はヴァイオリンやヴィオラより低いのですが、その音域は私たち人間の声に一番近い楽器と言われています。
その音色は豊かな響きのある低音から、心地よい高音まで、いわゆる癒しの音色です。
構造的にチェロはヴァイオリンとほぼ同じ構造です。ただし低音と音量を出すために全体が大きくなっており、特に木の厚みも増しています。弦も素材や基本構造は同じものの、太く丈夫に作られており、それに伴って弓もヴァイオリンと比較して太いですが、長さは逆に短くなっています。チェロはヴァイオリンと比べて大きく重いので、あごで挟み、手に持つことが困難です。今のチェロの形になる前の楽器(ヴィオラ・ダ・ガンバ)などは両足で挟み演奏していました。現在では改良され、エンドピンを伸ばし床に立て安定させて演奏を行います。このエンドピンの改良によりチェロの演奏技術が飛躍的に大きくなっていきました。

チェロの種類 CATEGORIES

チェロはたくさんのブランドがありますが、製作された時代や製作国で大きく分けることができます。年代ではオールドチェロ、モダンチェロ、コンテンポラリーチェロ(新作チェロ)、工場製チェロなどがあり、国別ではイタリア、ドイツ、フランス、ヨーロッパ諸国、日本、中国などが代表的な製作国としてあげられます。

オールドチェロ

オールドのチェロは個性的なメーカーが多く存在しますが、名器と呼ばれるものの多くはイタリアで製作されました。まさにイタリアはヴァイオリン発祥の地であり、そこでチェロも発展していきました。ヴァイオリンで代表的な製作者はみなさんもご存じのアマーティ、ストラディヴァリ、グァルネリ・デル・ジェスなどでしょう。それに対しチェロで有名な製作者はストラディヴァリとゴフリラー、モンタニアーナの3人と言われています。
オールドヴァイオリンと同じ、「銀色の響き、シルバートーン」と呼ばれる美しい音色がまさに代名詞でもあり、芸術品としても非常に高く評価されています。
色鮮やかな表現力と豊かな音量を併せ持ち、別格の響きを持っています。一流のプレイヤーにとって、この時代の楽器を持つことはステイタスにもなることでしょう。

モダンチェロ

ストラディヴァリやグァルネリの時代から少し経て、1800年以降に製作された楽器がモダン・チェロと呼ばれています。区切りは明確ではありませんが、現在ではある一人の製作者を境にその後の時代をモダンと区切っています。後世のストラディヴァリと呼ばれている名工、プレッセンダです。このプレッセンダ以降、北イタリアのトリノ、ミラノを中心に楽器製作は発展していきます。現在の研究ではこのプレッセン以降、1945年頃までに製作されたものを一般的にはモダンと呼んでいます。
モダンの時代は多くの聴衆の前で、よりパワフルに楽器が鳴るように工夫も加えられました。特にストラディヴァリやゴフリラー、モンタニアーナなどの名器の研究が進み、それを超えようと多くの製作者たちが切磋琢磨し凌ぎを削った時代でもあります。

新作チェロ(コンテンポラリー)

1945年以降、現代において製作されたチェロです。現在はさまざまな研究が進み、オールドやモダンの素晴らしさを、現在の技術でいかに再現するかを追求して製作されています。ヴァイオリン発祥からの伝統と技術、ストラディヴァリやグァルネリの素晴らしさを引き継ぎ、今に伝えるために現代の製作者たちは切磋琢磨しています。イタリア、特に発祥の街であるクレモナに多くの現代製作家が工房を構えており、現在も活躍しヴァイオリンやチェロを製作しています。
新作楽器は価格もお求めやすく、また楽器の健康状態も良いので安心して演奏していくことができます。弾き込めば弾き込むほど音が響くようになり、反応も良くなっていきますので、自身で音を育てていく楽しみがあります。
完全に手工製作(手作り)である楽器はイタリア製が中心で、ドイツのマスターモデル製も手工品です。
細部まで繊細な作業がなされており、見た目にも、音色や響きも非常に美しく作られています。製作家によって製作レベル、価格はかなり幅があります。

新作チェロ(半手工製&工場製)

イタリアから、当時の芸術の中心であったフランスや工業が発達したドイツやイギリスに製作地は移行していき、そして大量生産も可能にした技術改革も発達していきます。現代の製作においてお求めやすい価格帯は半手工製、または工場製が多くなっています。
半手工製は音色、響き、弾きごこちに関係する部分を手工で製作を行っており、粗削りなど大きな部分や音色にあまり影響のない部分などは機械で行います。どれだけ手工部分があるかで価格帯が違ってきます。
また工場製は製作過程のほとんどが機械で行われており、音質的な響きは手工製に劣りますが、大量生産とコストダウンが可能となりました。技術革新により、品質は均一化され安定した良質な楽器が提供されることが可能となり、全世界に安定した楽器供給が行われています。
半手工製や工場製はドイツ、フランス、ベルギー、ハンガリー、ルーマニア、チェコ、中国、日本などが製作の盛んな国です。

チェロについて ABOUT

チェロの名器

16世紀後半から18世紀前半にかけて、クレモナは楽器製作の中心地になり、多くの名器が作られました。チェロの歴史の中でも、やはりストラディヴァリは別格であり名器中の名器として存在します。そしてそれまでの主流のクレモナの製作者、ストラディヴァリに対して1690年代に始まった重要な歴史があります。それはベニス(ヴェネツィア)でのチェロ作りです。この流派の最も優れたチェロ製作者に、マッテオ・ゴフリラー、ドメニコ・モンタニアーナなどがいました。ゴフリラーのチェロは、あの有名なチェリスト、カザルスも使っていました。

チェロの素材

チェロもヴァイオリンと同じ木材でできています。主に、表板はスプルース(松)、裏板、側板、ネックはメイプル(楓)で作られています。
同じ種類の木材でも産地により、また1本1本でそれぞれ違いますし、木目によっては高級なものとして扱われています。木材は伐採され、乾燥させたものを使用しますが、この乾燥にかける年月によっても価格が違います。楽器の命である音の響きを良くも悪くも左右するのは木材であり、チェロを形成する材質がまずは非常に重要になってきます。

エンドピンの登場

18世紀以降になると、より大きな音が出せるように、指板が長くなり、駒や弓の形状にも手が加えられて、現在のスタイルのチェロが確立されました。この改造後の現代仕様のチェロのことをモダン・チェロ、歴史的楽器で改造を受けていないものをバロック・チェロと言って区別することがあります。またエンドピンで楽器を支えるという方法は19世紀後半になってから一般化したもので、それ以前は、ヴィオラ・ダ・ガンバのように両膝に挟んで弾いていました。このエンドピンの登場でチェロの演奏技法は飛躍に向上したと言われています。