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ジャズライフ別冊『JAZZ HORN 〜BIG BAND 特集号〜』共同企画
学生ビッグ・バンド プラクティス・レポート
共同取材:ジャズライフ編集部
撮影:小貝和夫

回を重ねるごとに、レベルアップし続ける学生ビッグ・バンド。第39回大会でも、それぞれのバンドが、それぞれの個性を余すところなく発揮し、コンテストは大盛況のうちに幕を閉じた。

演奏技術は上がっても、各バンドは練習方法や選曲について試行錯誤を続けていることもまた事実であろう。
そこで、第39回大会で上位入賞を果たした中で、今回は東京のバンドに絞って、その練習を取材した。あなたのバンドにとっても、参考になることがきっと見つかるハズ!


慶應義塾大学 ライト・ミュージック・ソサエティ
慶應義塾大学の三田キャンパスの一角にある部室は、楽器や譜面などの置き場として使用されている。練習のためのスペースは限られていて、他の音楽サークルとの競合となる(もちろん、KMPとも…)。全体練習は週3回、2〜3時間ほど。限られた時間を有効に使うべく、個人練習などは各々に任せ、練習時間は主に合奏にあてられる。

コンサートマスターによると、曲は常に最先端のものを選ぶよう心がけていて、そのための情報収集には余念がないとのこと。最近は、ジム・マクニーリーなどのコンテンポラリーを中心に演奏している。また、練習ではタテをあわせるよりも、個人個人のよさを引き出すことに重きを置いている。全体としてのフィーリングを重視する一方で、ある意味バラバラ感も大切にしており、そこから生まれるカッコよさが、バンドの特徴だと言う。

練習では、コンマスが中心となり様々な注意点や指示が出されるのと並行して、合奏を録音し、すぐにその場で再生、みんなで確認して悪かった部分を修正する…といった、実に効率的な方法で進められていた。

練習やリサイタル、またYBBJC会場などに、祖父母と同年代のOBが訪れることもあり、現役メンバーを励ましてくれるという。学バンで最も長い歴史を持つライトならではのエピソード。まさに何世代にもわたる「伝統」が彼らの強みとなっている。

取材日:2008年11月4日

国立音楽大学 ニュー・タイド・ジャズ・オーケストラ

東京・立川市にある国立音大は、キャンパスに一歩足を踏み入れると、どこからともなく楽器の音が聞こえ、音大独特の雰囲気が漂っている。
今や学内で知らない者はいないと言われるニュータイドも、決まった部室や練習場はなく、練習の都度、教室などの部屋を借りているらしい。また決まっていないのは練習場だけではない。全体練習も定期的には行なわず、月に2〜3回程度だと聞いて驚いた。ライヴなどの前にリハーサルをするという感覚のようだ。
しかしながらコンテストに向けての選曲は1年前からとりかかり、コンテスト前の約2週間は、近くの公民館で、文字通り朝から晩まで、半合宿状態の練習をしたとのこと。

普段の授業ではクラシックを学んでいるため、ジャズを演奏できるのは、このニュータイドの活動の中でだけ。だからこそ、自分たちの好きなことを追求し、ジャズだけにこだわらず、偏ることなく新しいことに挑戦している。学生らしさ、ニュータイドらしさを大切にしていると言う。
賞を取るための練習をしているわけではなく、最高の演奏ができれば全員が満足できる、というコンミスの言葉がとても印象的だった。

実際の練習はというと、主にはコンミスがリードするが、コンミスとメンバーが対等に意見を交わしているところが特徴的。練習中に全員が発言し、全員で意見を出し合いながら曲を形作っていく。それだけメンバーの音楽的素養が高いということなのだろう。
今年のコンテストではオリジナル曲を演奏したが、メンバーの個性を活かしながら作りあげていったというのも、練習風景を見ていて納得できた。

取材日:2008年10月29日

明治大学 ビッグ・サウンズ・ソサエティ・オーケストラ  

御茶ノ水の駿河台キャンパスにあるBSの専用練習場には、グランドピアノが入っている合奏部屋のほかに、Tp、Tb、Saxの各セクションがパート練習できる3つの小さな部屋があり、今回訪れた4バンドの中で、最も恵まれた練習環境にあると言える。

練習はコンマスがリードする形だが、そのコンマスは、常に「BSらしい」演奏を心がけているという。ベイシーのナンバーでも、コンテンポラリーな曲でも変わらず、力強さや勢いを大切にしているそうだ。
そして、どこを見せたいかをハッキリさせる=BSのやり方だ、とも言う。例えばソロを聴かせる選曲なのか、セクションを聴かせる選曲なのかは、コンマスの意向を中心に、その年のメンバーで話し合って決める。
下手でも伝わるものがあれば学バンはOK。みんなの心のつながりが大切、とバンマスは胸を張っていた。

ちなみに今年のコンテストへ向けての選曲会は、5月に行なった。例年に比べて遅かったようだ。そこからアレンジを決め、8月に入ってからの練習は毎日12時間!時にはプロのOBが見に来てくれることもあり、その貴重なアドバイスを活かしながら、試行錯誤を重ねた。

全体練習の最初はウォームアップを兼ねてのブルース。強弱を5段階に決め、コンマスの指示で、全員が同じ音量で吹く練習や、リズムパターンを確認する練習にあわせて、各パート1名が1コーラスずつソロをとり、アドリブの練習をするという、効率の良い方法で約15分間の基礎練習を行なっていた。
また合奏では、曲中のポイントを声で歌ってあわせたり、フレーズ毎に短く切って繰り返したりと、常に一人ひとりが考えてバンド全体を上達させていこうという意図がみえた。今から20年近く前に、BSが初めて最優秀賞を受賞した時のOBから聞いた練習方法を、形を変えながらも継承しているのが印象に残った。

取材日:2008年11月8日

早稲田大学 ハイ・ソサエティ・オーケストラ

様々な音楽サークルの活動の場ともなっている学生会館の中に、ハイソの部室がある。しかしその部室も他の音楽サークルとの共用で、週に3日しか使用できないらしい。
そんな限られた時間の中で、ジュニアバンド〜レギュラーバンドの順で全体練習を行なっている。

コンテストへ向けては、4月に選曲会を開き曲を決めたものの、アレンジの完成などの関係で、実際に練習ができたのは数週間だという。それでもOBを中心に複数のコーチに依頼して指導を受けたそうだ。その短期間での集中度が、今年のコンテストの結果につながったのだろう。

ハイソの練習方法は、その年のコンマスの方針によって変わってくるらしい。今年度はコンマスを中心に、主に3〜4年生が中心となってリードしていたようだ。合奏と合奏のちょっとした合間にも、上級生が同じパートの後輩に対してニュアンスや吹き方などを細かく指導していた。8月のコンテストが終わると、より後輩の指導・育成に力を注ぐようになるとのこと。
なんでも「ハイソ切り」といわれるものがあり、どの世代のハイソメンバーが演奏しても、みな同じ音の切り方をするという。それは練習で培われるのはもちろんだが、特筆すべきはOBの演奏(過去の録音)を繰り返し聴くということだ。
年代が変わっても、ハイソ独特の表現や吹き方は変わらない。つまり、現役メンバーの中にも、ハイソの伝統を守り、受け継ぐ意識が強いということなのではないだろうか。そこにハイソの強さを見た思いだ。

取材日:2008年10月31日

今回は東京の4バンドのみの取材となったが、上位入賞の常連バンドということもあり、それぞれ特徴があって、効率的な練習をしているのに感心させられた。この4バンド以外のバンドも、試行錯誤しながら自分たちにあった練習方法を模索していることと思うが、このレポートも是非参考にしてほしい。
また今回、あらためて感じたのは、練習場(部室)の広さ・使用可能時間・設備などの面で、予想していたよりも厳しい環境で練習しているということ。これは大学側の事情など、様々な要因があるのだろうと察するが、それをものともせず、メンバーの創意工夫で乗り越えて練習していることに、頭が下がる思いだった。
それは兎にも角にも、メンバー全員が、ビッグ・バンド・ジャズを演奏することに情熱を持っているからだということを肌で感じることができて、取材している側が嬉しくなってしまった。
これらの練習場から、これからも素晴らしい音楽が生まれてくることが楽しみになった、そんな取材だった。

※共同取材したジャズライフのレポートが、ジャズライフ別冊『JAZZ HORN 〜BIG BAND 特集号〜』(11月29日発売)に掲載されています。

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