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JamSpot

31回-40回  山野楽器店頭で配布中のJamSpotに好評連載中の連載コラムです。  
●中田利樹…ライター、FM・DJ、インディ・レーベル:クール・サウンドのオーナー。10月後半、ナッシュヴィルとL.A.を訪れ、ジェイ・グレイドン、ランディ・グッドラム他のAORな人々と再会。美味なネタを多数ゲット。
第53回:2007-10

 今月は「ようやく登場、日本盤!」これがキーワードになります。まずは、デイヴ・コズの『At The Movies』(9/26:EMI)。スムース・ジャズ界を代表するサックス奏者の彼が初めて挑む映画音楽名曲集で、ビルボード誌のContemporary Jazz Albumsチャートでは早々にNo.1を獲得しているベスト・セラーです。アルバムは< Over The Rainbow>で幕を開け、<Moon River><The Pink Panther><It Might Be You><A Whole New World>..とお馴染みの映画音楽のナンバーがバラエティ豊かに登場。さらに、プロデューサーは大御所、フィル・ラモーンで、ゲストもアニタ・ベイカー、バリー・マニロウ、ヴァネッサ・ウィリアムス、ドナ・サマー他、実に豪華。ポップでハッピーないつもの“スムース・コズ”とはひと味違いますが、理屈抜きに誰もが楽しめる作品として、私はこのアルバムを強く支持します。ちなみに、デイヴ・コズはこの10月にコンサート来日を果たします。10月4日(木)から9日(火)までの6日間、ブルーノート東京にて。ゲストとして、先月ビクターさんから日本盤も発売されたキュートな19歳、ケリー・スウィートも同行。と来たら、これを観ないてはないですよね〜! 最高のパフォーマンスが味わえますので、アナタも是非!

  そしてもう1枚はシンプリー・レッドの『Stay』(10/10:avex)。前作がアンプラグド的なセルフ・カバーを多く含んでいたのに対し、今回は完全に新曲で勝負。例によってミック・ハックネルの歌声はメロディアス&ハートフル、そして非常に力強く、R&Bとポップ、ロックの程良いミクスチャーが堪能出来ます。ちなみに、彼(ら)のサウンドはアメリカではスムース・ジャズのステーションから受けが好く、今回のアルバムからも1stシングルの<So Not Over You>がRadio & Records誌のスムース・ジャズ・チャートで最高6位まで上がっています。


第52回:2007-09

 夏というとライヴ・フェスティバル! 今年もいろいろなジャンルのフェスが世界各地で行われますが、個人的にはスムース・ジャズのフェスに潜入することを画策中で、L.A.近辺のスケジュールをいろいろと調べている今日この頃です。フェスティバルの美味しい所は、複数のアーティストをいっぺんに満喫出来る、という部分ですよね、改めて言うまでもなく。そして、普段のレコードでは味わえない、予期せぬ共演、これも大事なポイントです。

  さて、これらをCDに置き換えるならば、複数のアーティストが同時に味わえる=コンピ盤であり、予期せぬ共演=ヴァリアス・アーティスツ参加による企画盤、そんなことが言えるのではないでしょうか?ということで今回はコンピ盤を1作、そして企画盤を1枚、それぞれご紹介したいと思います。

  コンピ盤は8月29日にワーナーからリリースされる『ナイト・フィーバー』。サブ・タイトルが“80'sSurfer Disco”となっているこのアルバムは1978年〜83年頃、すなわち、私の人生の友:AORが盛り上がっていたのと全く同じ時期に大流行していたサーファー・ディスコをテーマにしたコンピで、クリスタルな女子大生がニュートラで踊っていた、あの頃のサウンドを2枚組36曲に厳選した涙モノの作品です。EW&F、クール&ザ・ギャングからボーイズ・タウン・ギャング、BBQバンドまでお馴染みのナンバーが多数登場し、かつ、ダンス・フロア・マニアも納得の、通なナンバーも数曲収めています。

  そして企画盤はキングから9月5日にリリースされるジェフ・ベックへのトリビュート・アルバム『ベック・アンド・バック:ア・トリビュート〜ギター殺人者の恋人達』。マイク・スターン、ジョン・スコフィールド、エリック・ジョンソンを始め、各界のスーパー・ギタリストが再演するジェフ・ベックの名曲の数々。ヴィニー・カリウタ他のリズム隊と繰り広げる熱いヴァイブをご堪能下さい!


第51回:2007-08

 もう間もなく梅雨明け、ですよね? 夏全開までもうあと少し。となると、やはり聴きたくなるのは身も心もリゾートチックなサウンドですよね。残念ながら私の大好きなAOR系ではそういったニュー・リリースが見つからなかったのですが、ありました、ありました、お薦め出来るリゾート系のCDが。モノは、ポニーキャニオンから7月18日に発売されるコンピレーション『H-POP Vol.1Jawaiian Cruise』。

  H-POPとはズバリ、Hawaiiのポップスの総称で、このコンピの選曲・監修を担当したのはKONISHIKIさん。ハワイの音楽というと日本ではどうしても伝統的なハワイアンという印象が強いですが、レゲエのフレイヴァーを取り入れたジャワイアンがここ20年にわたって若者から大きな支持を得ていて、実に有能な若いアーティストが次々に登場している、それをちゃんと日本に紹介していきたい、そんなKONISHIKIさんの狙いが見事に具現化された1枚です。特に、ど真ん中のジャワイアンだけではなく、メロウなもの、R&B寄りなものが出て来ると、そのホンワカした質感に思わずニンマリ。今回初めて知ったEkoluとLagaSaveaは完璧に私の琴線に訴えかけました。嗚呼、恋しやハワイ...。

  続いてはポップ/AOR系の紙ジャケ再発から何点か。7月18日にソニーから「ソフト・ロック+シンガー・ソングライターの名盤の旅」と題して5枚のアルバムが再発売されます。ものはカーラ・ボノフの『カーラ・ボノフ』『麗しの女〜香りはバイオレット』、リビー・タイタス『リビー・タイタス』などで、個人的には名曲<パーソナリー>を収録した『麗しの女〜』に一票! という感じです。また、ワーナーからも7月11日にアメリカのデビュー35周年を記念して、『名前のない馬』(1972年)から『ライヴ』(1977年)までの8枚が紙ジャケで限定発売中。売り切れ必至! 今すぐお求めを!

ジャケット画像
V.A.
H−POP Vol.1〜Jawaiian Cruise〜
詳細
〔2007/07/18 PCCY-01841 税込\2,520〕

ジャケット画像
カーラ・ボノフ
麗しの女〜香りはバイオレット(紙ジャケ仕様完全生産限定盤)
詳細
〔2007/07/18 SICP-1451  税込\1,890〕

第50回:2007-07

 まずは人気キーボード奏者ジェフ・ローバーの新作『ヒー・ハド・ア・ハット』(東芝EMI)からチェックしましょう。プロデューサーとしても引っ張りだこの彼は、ポール・ブラウン、ブライアン・カルバートソンと並ぶL.A.産スムース・ジャズ御三家の1人ですが、ソロ・キャリアで言えば他の2人とは比較にならないまさに重鎮選手。ナント、今年で丁度30年という節目を迎えるのでした。デビュー当時はそれこそ、チック・コリアも認めるフュージョン界の新星、まさに素晴らしいテクニックでブイブイ言わせていたのですが、ここ15年くらいは打ち込みを基本に、クールでグルーヴィー&ファンキーなサウンドを構築していました。それが今回は全てライヴ・ミュージシャンでレコーディングというオーガニックな形態を取り、プロデュースもクリス・ボッティ他を大成功させているボビー・コロンビーに一任。自らは作曲と演奏に徹するというスタンスを選択しました。

  アルバムのオープニングを飾る<Anthem For A New America>― この曲は現在、アメリカのスムース・ジャズ・ステーションでヘヴィ・ローテーションを記録していますが―確かに、これまでのジェフ・ローバーには無かった“大らかアーシー”路線を展開。これには最初、若干の戸惑いを隠せませんでしたが、2曲目のタイトル・チューンではイントロからモロにジェフ・ローバーした格好良いエレピのコードが刻まれたり、結局は終わってみたらニコニコな私がいました。エリック・ベネイ、ポーラ・コール他、ゲスト陣も豪華ですし、これは要チェックです。

  そして、もう1枚はワーナーから登場するアンドレア・コアーの『テン・フィート・ハイ』。人気兄妹グループ:コアーズのフロントを飾るアンドレアが初のソロ作をレコーディング、しかも、いつもとは違うスタッフと共に新しいフィールドにチャレンジ。キュート&クールな魅力満載な1枚です。

ジャケット画像
ジェフ・ローバー
ヒー・ハド・ア・ハット
詳細
〔2007/06/13 TOCJ-66381 税込\2,500〕

ジャケット画像
アンドレア・コアー
テン・フィート・ハイ
詳細
〔2007/06/27 WPCR-12663  税込\2,580〕

第49回:2007-06

 今月は日本人アーティストの2作をクローズ・アップさせて頂きます。まずは、日本が世界に誇るドラマー、神保彰の最新ソロ作『フォー・カラーズ』(キング)。カシオペア、熱帯ジャズ楽団からPYRAMI D ( 鳥山雄司、和泉宏隆とのユニット) 、Syncronized DNA(則竹裕之とのツイン・ドラム・ユニット)まで、とにかく幅広い活動を展開する神保彰。その演奏技術は最早、神がかりの域まで到達していますが、自身のソロ作ではそういった超絶技巧に走らず、むしろメロディーメイカーとしてのセンス、才能を前面に出していました。それこそ、1980年代〜90年代、アメリカのスムース・ジャズ系ラジオ・ステーションでは彼の楽曲が本当によくかかっていました。今回、実に10年振りとなるソロ・アルバムではそういったスムースなメロディーに戻りつつも、しかし、活気溢れるグルーヴ、ビートもしっかりと刻み込んだ、実に“らしい”仕上がりになっています。曲は全て一発録リで、共演しているのはフランク・ギャンバレ(g)、エイブ・ラボリエル(b)、オトマロ・ルイーズ(key)という名手3人。異なった血の4人が織りなすアンサンブルはまさにここでしか体験出来ないもの。とにかくお薦め出来ます。

 そしてもう1枚は旧譜のリイシューですが、AORマニアにとっては嬉し過ぎる再発、岩崎宏美の『I Won't Break Your Heart』(ビクター)。もともとは1984年にリリースされたこのアルバム、レコーディングはL.A.で行われ、デヴィッド・フォスター、スティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドウ他、錚々たるミュージシャンがバックに参加し、現シカゴのビル・チャンプリンとのデュエットまで収録。さらに、あのフィニス・ヘンダーソンもバック・ヴォーカルで参加しているのですからこれは凄いの一語! 今回は初回限定の紙ジャケでの発売で、ボーナス曲も収められていますし、これを見逃す手は無いでしょう。ズバリ、必携です!

ジャケット画像
神保彰
Four Colors
詳細
〔2007/05/23 KICJ-518 税込\3,000〕

ジャケット画像
岩崎宏美
 WON’T BREAK YOUR HEART+7(紙ジャケ仕様盤)
詳細
〔2007/05/23 VICL-62283  税込\2,500〕

第48回:2007-05

 新年度に入りました。新しい環境で本誌をご覧になっている方も少なくないことでしょう。私の方は大きな変化も無く、4月以降もラジオ番組のDJを中心に、良質音楽を紹介していきます。そして、今月ご紹介するアルバムですが、まずは4月4日にソニーから発売された、ボズ・スキャッグス『シルク・ディグリーズ(エキスパンデッド・エディション)』。1976年に発表され、<ロウダウン><ウィアー・オール・アローン>他のスタンダードを生み出した、まさに記念碑的な1枚。もちろん、これまでにも何度となくリイシューされていますが、今回は発売30周年を記念した(当初より発売がずれ込み、結果的には31年後、となってしまいましたが..)エディションで、完全未発表のライヴ音源が3曲追加収録されています。しかも、リリース当時のパフォーマンスで、バックを務めるのはジェフ・ポーカロ、デヴィッド・ペイチを始めとした超一流のプレイヤーばかり。これは聴き物です。さらにCDにはボズ・スキャッグス本人による書き下ろしのライナーも掲載されています。こういうのがやっぱり一番嬉しいですよね、リスナー、ファンにとっては。

 そしてもう1枚は5月9日にキングからリリースされるビル・カントスの『ラヴ・ウインズ』。愛の風、ではなく、愛は勝つ、のラヴ・ウインズ。演じるビル・カントスは、L.A.を代表するキーボーディスト、アレンジャー、ヴォーカリスト。その世界では誰もが認める才人で、かつてはジェイ・グレイドン・バンドの音楽監督を任され、少し前はセルジオ・メンデスやフィル・コリンズのツアーに同行。最近では小野リサのレコーディングで来日もしています。そんな彼が書き下ろしたジャジーでポップなヴォーカル・アルバムがこれです。曲の好さもさることながらビルの声は実に穏やか。聴く度に惹き込まれる、大人の魅力満載の1枚です。新しい世代に向けた新しいスタンダード。ぜひともご一聴を。

ジャケット画像
ボズ・スキャッグス
シルク・ディグリーズ(エクスパンディッド・エディッション)
詳細
〔2007/04/04 MHCP-1291 税込\1,785〕

ジャケット画像
ビル・カントス
ラヴ・ウインズ
詳細
〔2007/05/09 KICP-1228 税込\2,800〕

第47回:2007-04

今月はスムース・ジャズ系のヴォーカルものから2枚厳選させて頂きます。1枚はヴィクター・フィールズの「Thinking Of You」(P-ヴァイン/ 3月2日発売)、そしてもう1枚はベベウ・ジルベルトの「モメント」(ビクター/ 3月16日発売)。ヴィクター・フィールズはサン・フランシスコをベースにする黒人シンガーで、アメリカでは昨年リリースされた「Thinking Of You」が4作目になります。非常に滑らかな歌声を聴かせてくれる人で、ウィル・ダウニングを思わせる大人の魅力に私は前から惚れ込んでいました。コテコテのR&Bとはひと味違う世界なので向こうのスムース・ジャズのステーションではよく彼の曲がかかっていますし、毎回アルバムにはカバー曲が多く入っているので初めて聴く方でも何の抵抗も無く入って行けると思います。今回のアルバムもビル・ウィザースの<Lovely Day>、ブラックバーズの<Walking In Rhythm>からベイビーフェイスの<For The Cool In You>、ギャップ・バンドの<Yearning For Your Love>まで抜群の選曲を施し、さらにゲスト陣もジェフ・ローバー、リチャード・エリオット、リック・ブラウン他の一流どころが揃った、まさに要チェックな1枚です。
もう1枚のベベウ・ジルベルトに関してはもう日本でもかなり知られて来ていると思うので、今さらジョアン・ジルベルトの娘の〜といった紹介の仕方は不要だと思います。今回の新作は、マドンナやビョークとの仕事で知られるガイ・シグスワースが4曲をプロデュースしていますが、これまでの新世代的な感触は残しつつ、しかし、ヒップに走るだけではない、極上のアダルト・ポップスとしての完成度も非常に高く、だからこそ、ここでご紹介したいなーと思った次第です。
今月の2作はとにかくスムース気分で楽しむのが一番! 日々の生活がより快適になること間違い無し、ですから。

ジャケット画像
ヴィクター・フィールズ
ヴィクター
詳細
〔2007/03/02 PCD-23883 税込\2,415〕

ジャケット画像
ベベウ・ジルベルト
モメント
詳細
〔2007/03/16 VICP-63761 税込\2,520〕

第46回:2007-03

2006年は結局2枚くらいしかCDを出しませんでした....私のレーベル、COOL SOUNDでは。1998年の4月にスタートし、最初の5年位は年間20〜30タイトルをリリースするなど非常に精力的に頑張っていたのですが、このところはほとんど開店休業状態でした。ただし、そろそろ再開しないとまずいかな、しかも、バッチリのアイテムも手元に来たことですし..。ということで今月は当社COOL SOUNDの新譜(何れも2月25日発売)を2枚ご紹介させて頂きます。
  まずは、出ました、パイロットの未発表音源集『Craighall Demos 71:76』。70年代のブリティッシュ・ポップ・シーンに素晴らしい風を巻き起こしたパイロット。2002年に当社で発売した再録盤『Blue Yonder』はお陰さまでかなりのセールスを記録しましたし、今なお根強い人気を誇る彼らだけにこの未発表音源集も大きな話題を呼びそうです。内容は彼らの本拠地だったスコットランド:エジンバラのスタジオ、Craighallで録音した貴重なデモを20曲(日本盤のみ1曲ボーナス収録)収めたもので、<January>や<Get Up And Go>といったお馴染み曲の原型が楽しめます。特に<Get Up 〜>の変わりようといったら吃驚仰天ものですからね。そして未発表曲も実に7曲入っている、というのが何よりの喜び。マニアの方だけでなく、一般の洋楽ファンも十二分に楽しめる、ポップスの玉手箱的な作品です。
  そしてもう1枚はそのパイロットの中心人物デヴィッド・ペイトンが全編プロデュースを手掛けたケニー・ハーバート&ラブ・ホワットの共演盤『Songs Of Our Lives』。こちらは新録ですが、ビートルズを崇拝する2人が自然体で発するブリティッシュ・ポップに心がホンワカさせられます。こちらも日本盤のみ1曲多く収録。また2作品とも日本盤のみ紙ジャケ仕様になっています。ぜひともご一聴のほどを。

ジャケット画像
パイロット
『Craighall Demos 71:76』
 
〔2007/02/25 COAP-506 税込\2,520〕

ジャケット画像
ケニー・ハーバート&ラブ・ホワット
『Songs Of Our Lives』
 
〔2007/02/25 COAP-507 税込\2,520〕

第45回:2007-02
  2006年を通して、スムース・ジャズの普及を訴え続けた私ですが、もちろん、今年も引き続き大プッシュしていきます。何故ならば、音楽マニアではなく、一般のリスナーの心と身体を最も安らげてくれる良質の洗練音楽だと信じて疑わないから。と、新年早々力んでしまいましたが、今月もお薦めアルバムが数枚在るのですからこれも仕方のないところ。早速、それらのCDをご紹介しますと、まずは1月24日にビデオアーツから出る『スーパースター〜ルーサー・ヴァンドロス・トリビュート』が必聴です。2004年にユニバーサル(GRP)からリリースされた『ルーサー・ヴァンドロス・トリビュート』の続編で、今回はアメリカがRendezvousから出た関係で日本でもビデオアーツからリリースされるというわけです。参加メンバーは前回同様スムース・ジャズ・オールスターズという顔ぶれで、パティ・オースティン、カーク・ウェイラム、ジェフ・ローバー、ウィル・ダウニング、ジョナサン・バトラー、ノーマン・ブラウン、ナジー、メイザ・リーク他がルーサーへの熱い思いを声や楽器に託しています。
 そして同じくビデオアーツから出るのがサックス奏者マイケル・リントンの最新作『ア・ソング・フォー・ユー』。彼はボビー・コールドウェルのバンドから巣立った今話題のプレイヤーで、これが5作目。今回は70年代を中心としたポップ・クラシックスのカバー集になっていますが、ゴージャスなストリングス・オーケストラを従え、実にヒューマンなサウンドを展開。自慢のアルトでたっぷりと酔わせてくれます。マイケル・リントンはもう1枚、2004年の傑作『ステイ・ウィズ・ミー』も同時にリリースされますのでこちらも注目です。ドライヴに最高の曲、ラテンのリズムを取り入れた極上チューン、そしてもちろんメロウなバラードとバラエティは実に豊富。スムース・ジャズの魅力がここに凝縮されています!
ジャケット画像
V.A.
スーパースター〜ルーサー・ヴァンドロス・トリビュート
詳細
〔2007/01/24 VACJ-1012 税込\2,625〕

ジャケット画像
マイケル・リントン
ア・ソング・フォー・ユー
詳細
〔2007/01/24 VACJ-1010 税込\2,625〕

第44回:2007-01

 12月は年の瀬ならではの慌ただしさと、ホリデー・シーズンならではの安らかな気持ち、この2つが入り交じった、活気溢れる月だったりしますが、今月はジャズ/フュージョン系のリリースから2枚。どちらもリラックスしながら楽しめ、しかし、聴き応え満点! そんな作品です。
  まずは待望のCD化実現!思わず、でかしたぞ、ビデオアーツ! と褒め讃えたくなるデヴィッド・T・ウォーカーの登場です。ソロ・アーティストとしてはもちろん、セッション・ギタリストとしても実に評価の高い彼は、ブルージー・ソウルなサウンドで多くの崇拝者を持つ、玄人芸人的プレイヤー。AOR的には故ニック・デカロの名作『イタリアン・グラフィティ』を始め、ボズ・スキャッグス、メリサ・マンチェスター他のアルバムでそのプレイを味わえますが、彼が1970年代、Odeというレーベルに残した3作が今回一気にCD化され、多くのコアなリスナーを興奮させています。一般的には73年の『プレス・オン』が最高傑作と言われていますが、個人的には一番長い付き合いだった(手に入れたのが一番最初だった)ことから76年の『オン・ラヴ』を今月は推薦致します。女性の裸をアートとして描いたジャケットからしてまさに“オン・ラヴ”な雰囲気ですし、ミニー・リパートンの名曲<ラヴィン・ユー>のカバーがなんとも艶っぽかったり、とにかく浸れます。バックはジョー・サンプル、レイ・パーカーJr.他のこれまた名手ばかり。

  そしてもう1枚はケニーGの新作『ムード・フォー・ラヴ』(BMG)。全編インストで、しかも、名曲カバー集、そんなことから甘いイージー・リスニング・アルバムも想像したのですが、1曲目からジェイムス・ブラントの<ユーアー・ビューティフル>が出て来て、実に新鮮。その後もスタンダード、ビートルズ・クラシックスからアリシア・キーズまで時代を超えた選曲が実にグッドでした。まさにケニーG、面目躍如の1枚です。

ジャケット画像
デヴィッド・T.ウォーカー
オン・ラヴ
詳細
〔2006/12/20 VACM-1299 税込\2,625〕

ジャケット画像
ケニー・G
ムード・フォー・ラヴ
詳細
〔2006/12/20 BVCM-31212 税込\2,548〕

第43回:2006-12

 まずは私の“故郷”、A.O.R.関連の作品から。11月22日にソニーから発売されるボズ・スキャッグスの『ヒッツ!(エクスパンデッド・エディション)』がチェックです。1980年にリリースされ、当時、オリジナル・アルバムには未収録だった佳曲2曲を収めたことで大きな人気を呼んだ作品。実は、当時、アメリカ盤と日本盤では選曲が異なっていたのをご存じでしょうか? アメリカ側から「日本は日本で独自の選曲にして良いよ」と配慮を頂き、独自の内容になった、というわけです(2曲差し替え)。そして、今回のリリースに関してはオリジナルのアメリカ盤をベースにし、さらに5曲を追加した全16曲になっています。<ウィア・オール・ア
ローン>や<ロウダウン>、<ジョジョ>といった1980年までの名曲はもちろんのこと、88年のヒット・チューン<ハート・オブ・マイン>も入っていますので、ビギナーの方にはうってつけの内容になっています。

 続いては現在の“我が家”、スムース・ジャズ関連から。アーバンチックなサウンドで通を唸らせるギタリスト、ドク・パウエルの最新作が11月22日にユニバーサルからリリースされます。タイトルはズバリ『ドク・パウエル』。ソロ活動を始めてから約20年と言うヴェテランが初めて放つセルフ・タイトル作品。まさにこの音世界こそ等身大の自分自身なり、それを物語るかのようなシグネチュア・サウンド満載。ジョージ・ベンソンを思わせるオクターヴ奏法でジャジーに決めたり、キャロル・キングの<イッツ・トゥ・レイト>をメロウにカバーしたり、とにかく心地好さの極地です。明るい感じの曲ももちろんありますが、全体的には夜のBGMに
最適。心が癒される、いや、精神的にリッチな気分になれる、そんな名作です。バックにはカーク・ウェイラム(サックス)、ブライアン・カルバートソン、ボビー・ライル(共にキーボード)他の名手が参加。コクマロ、な1枚です。

ジャケット画像
ボズ・スキャッグス
ヒッツ!(エクスパンディッド・エディション)
詳細
〔2006/11/22 MHCP-1122 税込\1,785〕

ジャケット画像
ドク・パウエル
ドク・パウエル
詳細
〔2006/11/22 UCCT-1178 税込\2,548〕

第42回:2006-11

 今月のイチ押しは、11月29日にユニバーサルから国内発売されるジョージ・ベンソン&アル・ジャロウ『ギヴィン・イット・アップ』。この道数10年の大御所2人がコラボレーションしただけでも興味津々ですが、出だしの2曲が<ブリージン>と<モーニング>、すなわち2人の代表曲のセルフ・カヴァーで、しかもそれらを大胆にアレンジした新鮮な感覚にグイグイ引き込まれてしまいます。その後も、マイルス・デイヴィスの<トゥトゥ>や<フォー>に歌詞を付けたヴァージョンあり、<サマー・ブリーズ>や<エヴリ・タイム・ユー・ゴー・アウェイ>といったポップ・クラシックスのカバーありと実に変幻自在。ポップさと芸術性の見事な融合には思わず舌を巻いてしまいます。ポール・マッカートニー、ハービー・ハンコック、マーカス・ミラー、クリス・ボッティ他、ゲスト陣も実に豪華。これはまさに今月No.1の必聴アイテムと言って良いでしょう。

 そしてもう1枚は、ポップ・マニアには嬉しくて堪らないリイシューもの! セレスティアムの『サンクチュアリー』がまさかまさかの世界初CD化されてしまいます。これは10月18日にソニーから登場するソフト・ロック紙ジャケ・シリーズの1枚としてですが、LPが登場した時(1984年)は国内発売が見送られたほどですから、輸入盤を入手したマニアだけが驚喜した、そんな“通な1枚”でした。それが20数年後に日本だけでCD化されるとはなんとも感慨深いものがあります。このセレスティアムはビーチ・ボーイズの周辺で活動していたゲイリー・アッシャーのプロジェクトで、全編のリード・ヴォーカルをトム・ケリーが務めている点が最大のポイント。エアプレイのアルバムでもコーラスを務めていた“Mr.ハイ・キー・ヴォイス”トムの澄んだ高音がダイレクトに私のハートを直撃。特に1曲目<サンクチュアリー>の大サビは涙無くして聴けません! ソニーさんに大感謝!!

ジャケット画像
ジョージ・ベンソン,アル・ジャロウ
ギヴィン・イット・アップ
詳細
〔2006/11/29 UCCM-2002 税込\2,548〕

ジャケット画像
セレスティアム
サンクチュアリー
詳細
〔2006/10/18 MHCP-1148 税込\1,890〕

第41回:2006-10

 今月のイチ押しは今年聴いた中で最も気に入っている1枚。すなわち、2006年イチ押しのアルバムです。物は何かと言いますと、フィンランド生まれの女性シンガー、ジャニータの最新作『シーズンズ・オブ・ライフ』。6月頃から輸入盤でちょっとしたヒットを記録し、今月満を持して国内盤が登場。もちろん、お約束のボーナス・トラック2曲を携えて。心からジャニータを愛する中田としましては本当に嬉しくてしょうがないです。で、どんなサウンドなの?と言いますと、レコード会社の宣伝資料では「ベベウ・ジルベルトmeets ノラ・ジョーンズ」なんて書かれていて、まあ、それもありかなとは思いますが、私的にはスムース・ジャズとアーバン・ソウルが品良くクールにブレンドされた、という感じで、泥臭さは皆無、あくまでも洗練されたゴージャス感が最大のポイントだと捉えています。で、とにかく曲が良いんです。どの曲にも印象深いフックがあって、聴く度に感心させられます。まだまだ“メロディ”は残っているんだな、と。とにかく聴いて下さい。ホント、傑作ですから。ビクターから9月21日発売です。

 そしてもう1枚は、スムース・ジャズ界きっての豪腕ベーシスト、ウェイマン・ティズデールの新作『ウェイ・アップ』。かつてはNBAで大活躍した、2mを超える長身の彼。きっと手も指もかなりのサイズだと思うのですが、そこから弾き出すベースの音はまさにリード・ベースそのもの。ファンキーな曲ではこれでもかとパワフルに攻撃し、メロウな曲でも包容力たっぷりにメロディを奏でてくれます。クール&ザ・ギャングの大ヒット<Get Down On It>(1982年)のカヴァーが現在大ヒット中。バックにはジョージ・デューク、ジェフ・ローバー他、スムース・ジャズ界のスター選手が大挙参加し、こちらも要チェックです。ダンク・シュートを決めたような、爽快な気分になれること間違い無し!

ジャケット画像
ジャニータ
シーズンズ・オブ・ライフ
詳細
〔2006/09/21 VICJ-61385 税込\2,100〕

ジャケット画像
ウェイマン・ティスデール
ゲット・ダウン・オン・イット
詳細
〔2006/09/20 VACJ-1009 税込\2,625〕

31回-40回  山野楽器店頭で配布中のJamSpotに好評連載中の連載コラムです。


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