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ロータリートランペットの基礎知識

ベートーヴェンやシューベルト、ワーグナー等のドイツやウィーンの作品をオーケストラで演奏する際、ロータリートランペットを使用する場面はアマチュアでも近年、多く見られるようになってきました。しかし、吹奏楽の世界では未だ使用するバンドは少ないようです。
R.シュトラウスやヒンデミット等の後期ロマン派から近代にかけての作品を吹奏楽アレンジして演奏されることも多いはず。そんな時に少しでも当時の響きを再現する為にロータリートランペットを使ってみてはいかがでしょうか?
またアンサンブルでもPro BrassやMnozil Brassのようにロータリートランペットを使用して素晴らしい響きを生み出すグループは多々存在します。

ジャズの世界でもクラウディオ・ロディッティやジミー・オーウェンス等、オリジナリティ溢れるプレイヤーが使用しています。
当店取り扱いの“Willenberg”からはB♭、C管はもちろん、ピッコロ、D/E♭管も発売されていますし、“Kuhn”の楽器は“Bach”のマウスピースがそのまま使えるのでピストントランペットとの持ち替えも楽です。吹奏楽やアンサンブル、ライヴ等でもどんどん使用される場面があっても良いのではないでしょうか。

ピストントランペットとの音色の違い
外見からもお分かりの通り、ロータリートランペットはピストントランペットに比べ、管のレイアウトが緩やかになっていて、しかもベルが若干大きめに作られている物が多いです。その為、音色が柔らかく、響きが豊かです。それに比べてピストントランペットは明るく華やかな音色が特徴といえます。スラーで吹いた時の音の移り変わりもロータリートランペットの方がややはっきりとした傾向にあります。

ロータリートランペットの種類(タイプ)
ロータリートランペットを大きく分類すると“ドレスデン(ヘッケル)タイプ”、“ウィーンタイプ”、“ケルン(モンケ、ベルリン)タイプ”に分けられます。

(1)ドレスデン(ヘッケル)タイプ

基本はヘッケル社が長い間ドレスデン宮廷歌劇場管弦楽団をはじめとするオーケストラ奏者の要望に応え、音色の柔らかい楽器を製作。ベルクランツが付いている物が多い傾向にあります。後述のウィーンタイプ同様、ベルが小さく、軽量なボディを持ち、弦楽器や木管楽器に溶け込む柔らかく、明るいサウンドを持つ物が多いです。
代表的なメーカー:F.A.Heckel、Kuhn(ドレスデンタイプ)、Willenberg(ヘッケルモデル)


(2)ウィーンタイプ

往年の銘器ヘッケルをルーツに持ち、今現在、世界で一番主流のタイプ。小振りなベルを持ち、ベルクランツ(響き止め)が無い楽器が多い傾向にあります。ウィーンフィルが昔、ドレスデンに工房があったヘッケル社にウィーンフィル用としてクランツが無い物の製作を依頼。この流れを引き継いでいるようです。
ヘッケルの音色のイメージを持ちながら、近代オーケストラの要求に応えるキャパシティを追求した楽器だと言えます。また、オクターブキィが最初に付けられたのはこのウィーンタイプです。
比較的カップ容量が大きく、スロートも太いマウスピースがこのタイプの楽器の特徴を最大限に活かすようです。
代表的なメーカー:“Lechner”、“Schagerl”、“Weber”


(3)ケルン(モンケ、ベルリン)タイプ

ドレスデン、ウィーンタイプに比べ、大きめのベルとしっかりとしたボディを持つ楽器が多いです。ベルが大きいこともあり、ドイツ伝統の重厚な音色がする傾向にあります。
昔からドイツではケルンに工房を構えたモンケ社のB♭管を使うことが伝統で、ベルリンフィルなどではオーディションでモンケ社のB♭管が指定されるほどでした。そのためこのタイプはモンケタイプ、ベルリンタイプとも呼ばれています。
代表的なメーカー:Monke、Kuhn(ベルリンタイプ)、Willenberg(ケルンモデル)


ロータリートランペットは大まかに以上の3タイプに分類することが出来ますが、近年、ドイツではCuriaのC管のようなウィーンタイプとケルンタイプの中間を狙うような楽器が増えてきました。他にもピストントランペット同様、ピッコロやD管、E♭管も有り、ロータリー式のコルネットやフリューゲルも存在します。

マウスピース選び
正しくシャンクが合っている状態(左)と合っていない状態(右)
ロータリートランペットのマウスピースはピストントランペットのように規格が統一されていません。それぞれの楽器にあったマウスピースを選ばなければなりません。
ドイツ製の多くはBachの1-1/2Cを想定して製造されているものが多いですが、ウィーンタイプの楽器ではそれぞれのメーカーに合ったマウスピースを選択しなければなりません。
シャンクの入りが浅かったり、開放の指づかいで吹いた時の音程バランスが極端に悪いもの(真ん中のソやその上のミが低すぎたりするもの)は避けなければなりません。
また、ケルンタイプの楽器はベルが比較的大きく、ベルで音色を作ることが出来るので、BachのCカップぐらいのマウスピースでもロータリーらしい音色が作り易いのに対し、ウィーンタイプの楽器は支柱が少なめで楽器自体の造りが軽いので、マウスピースを更に深い物にして補う方も多いようです。
嬉しいことに当店取り扱いの“Breslmair”からは代表的なロータリートランペットメーカーのそれぞれに合うマウスピースが発売されています。

オクターブキィ(クラッペ)について
ロータリートランペットには唾抜きに似たキィが幾つか付いた物があります。これはオクターブキィ(クラッペ)と言い、特定の高い音をより出しやすくする為の物です。キィを押しながら決まった音を出すと外れにくくなります。高い音をより正確に外さず吹くことができ、ピアノなどの小さい音量で吹くときに大変役に立ちます。通常High C、A、Hの順にオクターブキィが増えていきます。唾抜きもHighBキィとして使えます。
ただ、実際にその音を鳴らす唇の振動が無いと音は出ません。
左図
(1)・・・High Aキィ (2)・・・High Hキィ (3)・・・High Hキィ
(4)・・・High Bキィ(ウォーターキィ)
 

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