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2009年2月11日、日本を代表するトロンボーンプレイヤー、村田陽一氏によるJAZZトロンボーン公開マスタークリニックを開催いたしました。
当日は沢山のお客様にご来場頂き、満席。中には若手のプロ・ミュージシャンの姿も見受けられました。
スペースの都合上、一部ではございますが、その模様をご紹介いたします。


【第1部】課題曲:Just Friends
(ジャスト・フレンズ)
受講者:芹澤 淳さん(学生)
どのように吹きたいか
決まった譜面のあるクラシックとは違ってジャズのアドリブに関しては、あくまでも奏者が自身のフィーリングでメロディを作っていかなければなりません。そこで重要となってくるのは『どのように演奏したいか、自分でビジョンを持って演奏できるか』ということ。
ジャズの場合は先ず、テーマがあるのでそれを吹く時に自分のやりたいことを表現するのがわかりやすいとのこと。(スイートに吹くか強く吹くか等)色々なパターンで村田さんも実演して頂きました。そのテーマを徐々に崩していくという形でクリニックが進みました。






メロディ作りのコツ
『Just Friends』のテーマは伸ばしが多いので、そこに自分の作ったメロディを入れてみる。
その反面、トロンボーン奏者は音符を詰め込もうとするので、スペースを大事に使って演奏してみる。変化するコードの中で共通音を見つけてそれをリズミックにアプローチしてみる。
また、自分の吹くフレーズだけでコードの変化がわかるようにしていく。(IIm-Vのモーションがちゃんとわかるフレーズを入れていったりする等)
等、色々なアドヴァイスを頂きました。

音楽表現を広げるコツ
狭いレンジ(音域の幅)の中で効率よく、メロディを作れるようにしてみる。例えば『Just Friends』の場合、上限をチューニングのB♭の上のDの音迄で練習をしてみる。それが出来るようになったら、レンジを広げてみると音楽表現の幅が広がります。
村田さんもアドリブをとる場合、大体2オクターブ半のレンジの幅をとるように心がけているそうです。


【第2部】課題曲:Nica's Dream
(ニカズ・ドリーム)
受講者:半田 信英さん(学生)
曲のフィーリングを活かしたアプローチ
『Nica's Dream』はA-A-B-Aという構成の中でAの部分がラテン、Bがスイング(4ビート)というリズム。コードもAの部分は大きなコードの変化、Bは1小節ごとに変わる細かい変化。そこでこのフィーリングをどう活かすか、という話から始まりました。
例として、A-Aの前半部はスペーシーもしくはリズミックに、Bの部分はIIm-Vが続くコード進行なので、8分音符、分散和音主体のアプローチがあげられます。

メロディ作りの音選びの一例
A-Aの部分だけを取り出し、村田さんがテーマを、受講生がアドリブを同時に吹き、テーマにぶつからない音を選んでいくという手法が紹介されました。。



アッパーストラクチャーを使ったアプローチ
最初の「B♭m△7」の構成音B♭、D♭、F、Aの上にスケールの中の音、C、E♭、Gを重ねると「F7」や「Cm」としてもアプローチすることが出来ます。「F7」として捉えれば、本来の
「B♭m△7」の特徴を出すAの音を使う意識が働きます。
また同じように次の小節の「A♭m△7」を考えると「E♭7」や「B♭m」として捉えることが出来、「B♭m△7-A♭m△7」のコード進行はB♭m一発でアプローチすることも出来ます。
というような専門的な話もありました。

【第2部】課題曲:Chameleon(カメレオン)
受講者:己斐 徹也さん(社会人)
コード分析
『Chameleon』は「B♭7→E♭7」の2小節の繰り返しです。
7thコードはサブドミナントとドミナント、つまりIIm7とV7に分けることが出来るので「B♭→E♭7」の進行は2拍ずつの「Fm7-B♭7→B♭m7-E♭7」という進行として捉えることが出来ます。そうすれば、使えるスケールの数が増え、ジャズっぽいアプローチになります。
また、アッパーストラクチャーを使うと「C7→F7」と捉えることが出来、浮遊感のあるサウンドを生み出します。
このようなアプローチを効果的に組み合わせることにより、飽きのこないメロディーを作れます。





ベンドについて
ビバップではベンドを用いることはあまりありませんが、Funk等のポピュラーミュージックでは効果的。ギターのチョーキング等が参考になります。
1番ポジションの「A♭」
High B♭の1音下の「A♭」は1番ポジションではどうしても低くなってしまうので、本来使ってはいけないとされています。しかし、「B♭7」や「Dm7」等に限っては「ブルーノート」だったり「♭5」等、元来低めにとる音なので、村田さんは「A♭」を1番ポジションで取ることもあるそうです。また、「G」の音がメインになる場合、「A♭→G」というように「A♭」を装飾音的に使用する時に、効果的なベンドもかけやすいとのこと。同じ音形を「3番→4番」のポジションでとることも出来ますが、トロンボーンの場合、ポジションが遠くに行けば行くほど、音が開いてしまうので、こちらの方が響きの面でも効果的とのことです。
ただ、音大などでは怒られてしまうので、あまりお薦めはしないと冗談交じりにおっしゃっていました。

クリニック終了後は村田陽一さんによるデモンストレーション。
J.J.ジョンソンが吹いた『Old Devil Moon』の音源と一緒に、それをJ.J.とそっくりに吹いたり、宅録で作った未公開の曲を披露。
デモンストレーションと言うよりも、大変貴重なミニライヴとなりました。

【村田陽一氏使用楽器】 ●Bach 16-GL(マウスピース:Bach 11C)


B♭、1枚取りイエローブラスベル(7-1/2")、デュアルボア(.495"/509")、イエローブラスアウタースライド、ラッカー仕上
このクリニックの半月程前から今迄の『Bach LT8』から『Bach 16-GL』に使用楽器を変更したそうです。
『LT8』が廃番になってしまったので、万が一に備え(楽器が盗まれてしまったり、壊れてしまったり)最もスタンダードなこのモデルに変更したそうです。
また、ジャズ以外の音楽に対して最もフレキシブルに対応してくれるという考えで長年Bachを愛用しているそうです。

<村田陽一プロフィール>
1963年7月25日静岡県生まれ。
2008年現在、通算12枚のソロアルバムをリリース。最新作は2008年6月ヤマハ ジャズ フェスティバル イン 浜松 '08にてTribute To「ブレッカー・ブラザー ズ」と銘打ってランディ・ブレッカーとジョイントし、ライブレコーディングし同年10月にリリース。同年12月にはDavid Sanbornのブルーノート公演にて1週間競演を果たす。
現在は管楽器7人とドラムだけの編成の「村田陽一SOLID BRASS」、2009年にアルバムをリリース予定の「村田陽一ORCHESTRA」、「村田陽一HOOK UP」と編成の異なる三つのバンドに加え、様々な編成でのライブ活動も精力的に行っている。2008年にNHK交響楽団、東京都交響楽団のトロンボーン奏者らとトロンボーンカルテット「4 Bone Lines」として2枚のアルバムをリリースし、それにあわせて同年 5月に東京文化会館にてリサイタルを開催した。

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