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フルート 二言三言

第10回 S.M.Lのルイロット

1850年代からほぼ100年に渡り、輝かしい繁栄の時代を築いた「LOUIS LOT(ルイ・ロット)」。 
ルイロットについては深くご興味を持っていらっしゃるという方も多いと思いますが、今日はちょっと違ったルイロットをご紹介したいと思います。

しっかりと刻まれた「LOUIS LOT」の刻印。でもちょっと馴染みのある刻印とは違います。まず活字の雰囲気が違います。それに通常の「LOUIS LOT」の刻印にあるPARISの文字が、PARIS FRANCEになっています。
「なんだろう、ニセモノ・・・?」なんて感じてしまう方もいるかもしれません。 
でもこのフルートも歴としたルイロットなのです。

素晴らしい名器を生み出していたルイロットはどのように終焉を迎えたのでしょうか。 
トゥーラ・ジャンニーニ著、堀江英一氏訳、有田正広氏監修の「フランスの偉大なフルート製作家たち」によると、ルイロット商会の最後の経営者、ガブリエル・シャンビイユは1951年まで事業経営を続けたと記されています。

これより少し前、1934〜35年頃、マリゴー、ストラッサー、ルメールという3氏が協力し、S.M.L(ストラッサー・マリゴー・ルメール)社を立ち上げました。このマリゴーは現在オーボエのメーカーとして有名なマリゴーです。 
当時、この会社はオーボエだけでなく、さまざまな管楽器を製作していたようです。1951〜52年頃にはルイロットの商標を買収。他の管楽器と共にハンドメイドによるフルートも製作しました。 
もうおわかりでしょうか?そう、このルイロットはまさしくS.M.L社で製作されたルイロットというわけです。

その後のS.M.L社は、オーボエとクラリネットの製作に専念したのですが、S.M.L社による「LOUIS LOT」は、どうやら1974年頃までは作られていたようです。 
かつてS.M.L社を訪問した経験のあるお客様からいただいた資料の中に、「1974年当時の工房で、クラリネット、オーボエと共にフルート生産がされていて、フルートの最高級モデルにだけLOUIS LOTのブランドを使用していた」という記述がされています。また「内職システムによる出来高払いで、全て手仕上げによる前近代的な作業」とも記されており、細々と技術が継承されていった様子がうかがえます。

残念ながらこのフルート自体がいつ頃作られたものかは見当がつきません。#9000番台の製造番号が刻まれていますが、買収前からの製造番号との連続性はありません。 
ニッケルシルバー(洋銀)製。洋銀であってもソルダードトーンホールであることは伝統的な作業が確かに継承されていたことを裏付けています。インラインでカバードキィというスタイルも独特。また通常、洋銀製のLOUIS LOTの場合、リッププレートは銀製が普通ですが、本品はリッププレートまで洋銀製のようです。 
静かに息を吹き込んでみましょう。1900年前後のルイロットとは違うとも言え、同じであるとも言えるサウンド。ただ美しい音色がサラサラと流れていくようです。

(文責 細村) 

S.M.L LOUIS LOT  Handmade Flute
洋銀製、ソルダードトーンホール(音孔ハンダ付け)、カバードキィ、C足、インライン
\288,000  
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